第24章 【ハーマイオニーの危機】
懐から長い羊皮紙を取り出し、ルシウスはそれをダンブルドアの目の前に突き出した。それを見て、今度は3人が3人とも息を飲む番だった。
「『停職命令』です、ダンブルドア。ここに12人の理事全員分の署名がある。どうやら校長もここまでですな――」
「――ちょ、ちょっとまてルシウス、今はまずい。ダンブルドアでさえ押さえきれなかったのに、停職なんて……」
「しかし、校長の任命も、それに停職も、理事会の決定事項ですぞ」
「けっ!何が理事会の決定事項だ!一体何人の理事を脅して賛成させた?え?この悪党が!!」
ハグリッドがルシウスに噛みついたが、ルシウスはそれをものともせず鼻で笑った。
「気性が荒いのが君の欠点だが、アズカバンの中では気を付けた方が良い。看守の気に障ったらどうなるか
……君も知らないわけではないだろう」
アズカバンの監獄。魔法使いの監獄で、その中には10年前、『例のあの人』に従う闇の魔法使いが何人も投獄され、そして獄中で死んでいった。生きて出られることは無い地獄の監獄だと言う事だけはクリスでも知っている。そんな中にハグリッドが入るなんて……!!
突然ダンブルドアのブルーの瞳がチラリとこちらを見ると、3人はびくっと体が反応した。
「わしの退陣を求めるなら、勿論わしはそれに従おう」
「先生さま、それだけはダメだ!!」
ハグリッドが叫んだ。目にはうっすらと涙を浮かべている。ダンブルドアは優しくハグリッドの肩に手をのせると、全てを見透かすような青い瞳をファッジとルシウスに向けた。