第24章 【ハーマイオニーの危機】
「あぁ、分かっておるよハグリッド。コーネリウス、ハグリッドは今回の件に関しては何も関係がない」
「しかし、ダンブルドア……ハグリッドに前科があるのは知っているだろう?魔法省としても、何か手を打たねばならん」
「わしの話が聞こえなかったかな?コーネリアス、ハグリッドは今回の件には無関係だ」
珍しくダンブルドアの柔和な顔が消えたと思った。それくらい、ダンブルドアのブルーの瞳に冷静さが消えた。その瞳を見て、ファッジはたじろいだ様に視線を下げ、何か良い方法はないかと被っていた山高帽をいじり始めた。
「ほんのちょっと、ほんのちょっとで良いんだ。何か手を打ったと言う印象を与えなければ、理事会も納得しない。ほんのちょっとの間、檻の中で大人しくしていてくれれば、すぐ釈放だ!」
「檻の中!?」
座っていたハグリッドが、突然弾かれたように立ち上がった。顔面蒼白で、棒立ち状態の体中がプルプルと震えている。まるで金魚のようにパクパクと2、3回口を開けた後、やっとの思いでハグリッドは言葉を口にした。
「お、檻の中って……まさか――アズカバンじゃ――」
その時、不意に戸を叩く音がした。入ってきた人物を見て、今度はクリスがはっと息をのんで肘でつつかれる番だった。入ってきたのは誰であろう、この小屋にまるでふさわしくない人物、ルシウス・マルフォイだった。
(ルシウスおじ様!!)
ルシウスは遠慮なく大股でハグリッドの家に入ってくると、冷たい目で小屋をぐるっと一周させて鼻で笑った。
「これが、あー、その……君の家かね?」
「そうだ!貴様なんかお呼びじゃねえ、とっとと帰ぇれ!」
「それは良かった、お互いの意見が一致したようだ。私もこんな小汚い家――と言えるかわからないが――にはあまり長く居たくないのでね。学校に来たら校長がここだと言うのだから、仕方なく来たのだ」
「それで、わしに何の様かね?ルシウス」
ファッジに向けていた視線を、今度はルシウスに向けた。両者の間で激しい火花が飛び交う。どのくらいの間そうしていただろう。突然ルシウスが、ふっとしたり顔で話し始めた。
「ところで校長は、この事件をどこまで把握しておりますか?」
「それはどういう事じゃな、ルシウス?」
「つまりはこういう事ですよ」