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ハリー・ポッターと純血の守護者

第24章 【ハーマイオニーの危機】


「……いや、これはその……なんでもねぇ――座ってろ、今、茶ぁ入れる」

 しかしハグリッドは明らかに挙動不審だった。空のやかんを火にかけようとしたり、砂糖の代わりに塩を入れてみたり、力加減を誤って、ポットを粉々に割ってしまったりしていた。結局見かねたハリーが代わりに紅茶を入れた。

「ねえハグリッド、ハーマイオニーの件は聞いた?」
「ああ、うん……聞いた……」

 ハーマイオニーの事を話すと、ハグリッドは余計にそわそわし始めた。何かを隠しているのは一目瞭然だ。ハグリッドはハリーが入れてくれた紅茶に手も付けず、親指をくるくる回しては窓の方にチラチラ視線をやっている。シーンと静まり返った小屋の中で、急にトントンと扉を叩く音がした。
 ハリーとロンとクリスは慌てて透明マントを被って部屋の隅に移動した。ハグリッドはそれをしっかり確認してから、石弓を持って戸を開けた。

「今晩は、ハグリッド」
「校長先生さま……」

 ハグリッドはダンブルドアの顔を見ると、肩の力を抜いた。しかしその後ろに立っていた人物の顔を見ると、真っ青になってその場にどっかりと座ってしまった。

「コーネリウス・ファッジ!魔法省大臣で、パパのボスだ!!」

 突然ロンが喋ったので、ハリーが肘でつついた。
 コーネリウス・ファッジと言う男は、さえない男で、背が低く白髪頭で、変にマグルと魔法使い2つの格好を混ぜあわせたコーディネートをしている。困り果てた顔でダンブルドアとハグリッドを交互に眺めていて、それがより一層頼りなく見えた。

「校長先生さま……俺は、俺は何もやってねえ」
「分かっておるよハグリッド、しかし事態は良くない」
「そう、ダンブルドアの言う通りだ。事態はすこぶる良くない。私の身にもなってくれ、もう生徒が4人もやられたんだぞ。ここで何もせずただじっと指をくわえているだけなんて出来ないんだ」
「俺は、俺は何も……」

 ダンブルドアの膝元に、祈るような格好でハグリッドは手を合わせた。普段は大きなハグリッドの体が、今はとても小さく見える。

「ダンブルドア先生様、すべて知っていらっしゃるでしょう?俺は決して――」
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