第24章 【ハーマイオニーの危機】
それからどれくらいたっただろう。やっとダンブルドアがやってくると、クリスは泣きながらハーマイオニーたちを発見した経緯を話した。ダンブルドアはそっとクリスの肩を叩くと、2つの担架を出して、魔法で医務室まで連れて行ってくれた。そしてそれにクリスも同行することを許してくれた。
本当は言いたいことがいっぱいあるのに何も言えず、クリスはベッドの上で固まっているハーマイオニーをじっと見つめていた。それからしばらく経って、マクゴナガル先生に連れられて、ハリーとロンが入ってきた。2人とも驚きを隠せない様子で、ハーマイオニーに駆け寄った。
「ハーマイオニー、おい、ハーマイオニー!!」
「うそでしょ……こんな事って……」
しかしどんなにハーマイオニーに話しかけても、返事は帰って来ない。マクゴナガル先生は、コホンと1つ咳を吐いた。
「3人とも、これが近くに落ちていたのですが、どこかで見おぼえありませんか?」
マクゴナガル先生の手には、小さな丸い手鏡が乗せられている。3人は同じように首を横に振った。「そうですか」と小さくため息を吐くと、マクゴナガル先生は今度はレイブンクロー生の所に行った。集まったレイブンクロー生にも同じように手鏡を見せていた。
「……私の所為なんだ」
「え?」
「私の所為で、ハーマイオニーはこんな目にあったんだ!」
クリスは1度大きく壁を殴ると、叫びながら立て続けに拳を壁に叩きつけた。
「みんな、みんな私の所為なんだ!皆が襲われたのは私の所為なんだ!!私さえ居なければッ、私さえ居なければみんな――」
「止めろよクリス、血が出てるじゃないか!」
「こんな血がなんだ!こんな血があるから悪いんだ!」
「落ち着いてクリス、どういう事なの?」
「……私がいけないんんだ……私が、私が皆を襲ったんだ……」
クリスは立っていられなくなり、ズルズルと力なく床に座った。
「皆には言えなかったけど……我が家はサラザール・スリザリンの血を引いているんだ」
「何だって?!」
「それだけじゃない。私は……私はパーセルマウスなんだ。子供のころから蛇の言葉が分かるんだ。それに被害者が出るとき、私は必ず眠っているんだ。眠っている間に動ける人間なんて、私しかいない」