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ハリー・ポッターと純血の守護者

第24章 【ハーマイオニーの危機】


 バッと布団をはね飛ばすと、クリスはまたも自分の声で目を覚ました。寝汗をじっとりかき、左腕の痣はまたしても濃くなっている。
 取りあえず大広間に行こうと、着替えを済ませ廊下を歩いていると、突然背筋の凍るような感覚がクリスを襲った。それだけではない。例のあの声が、壁の中から聞こえてきている。

『今度は殺す――引き裂いて――八つ裂きにして……』

 これは、パーセルタングだ!!どうやってか知らないが、パーセルマウスを操る人間が壁の中を移動している。これは早く校長に知らせた方が良い!今日はクィディッチ観戦日だから、校長は観戦席にいるはずだ。クリスは慌てて廊下を走っていいると、何かに足を取られて転んでしまった。

「うわっ――痛たた……誰だ?こんな所にものを置いておく馬鹿は!」

 クリスはたった今躓いた物にゆっくりと視線を送ると、呼吸が止まってしまった。女性徒の足、スカート、グリフィンドールのネクタイに、ローブ。そして見慣れたふわふわの茶色良い髪と、大きく見開かれた茶色い目。
 ――間違いない、ハーマイオニー・グレンジャーが石のように固まって倒れていた。

「ハ……ハ……ハーマイオニーーーッ!!」

 駆け寄って揺さぶってみても、ハーマイオニーは石のように固まったままピクリとも動かない。辺りを見わすと、上級生のレイブンクロー生も同じように倒れていた。

「誰かっ!?誰かいないのか!?助けてくれ!また生徒が襲われた!!!」

 クリスの悲痛な叫びを聞いてか、もしくは廊下で大声で叫んでいる生徒を罰し様としたのかは知らないが、フィルが飛んできた。フィルチはクィディッチ観戦なんかに興味はないらしい。だがそれが今日は役立った。モップを手にトロールの親戚のような表情をしたフィルチだったが、倒れている2人の生徒を見て唖然としていた。

「良かった、ダンブルドアを連れてきてくれ!」
「な、なんで儂がお前になんぞ命令されなければならない……い、行くならお前が――」
「うるさい、四の五の言わずに早くしろ!!」

 今のクリスの見幕に勝てるものは誰もいなかった。フィルチはモップを手にしていることも忘れて、急いでその場を後にした。クリスはダンブルドアが来るまで、岩のように固まったハーマイオニーをその場でずっと抱きしめていた。
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