第24章 【ハーマイオニーの危機】
そしてイースターの休暇が終わると、本当に春の陽気がやってきた。5月のぽかぽかした晴れの日が続き、優勝杯に燃えるウッドは、夕食後毎晩クィディッチの練習をさせた。おかげで可哀相なハリーはクィディッチと宿題しかやることがなかった。
そんなある夜、ハーマイオニーと一緒に談話室で本を読んでいたら、ハリーがロンをひぱって寮から降りてきた。
「どうしたんだ?慌てて」
「僕の部屋が荒らされて……無くなってたんだ、リドルの日記が」
「何だっ!……んぐ――」
クリスの大声に、ハーマイオニーが手で口を押えた。しかしハーマイオニーも興味津々と言った様子で、2人に身を寄せつつ声をひそめた。
「だって、グリフィンドール生しかありえない筈でしょ?他の寮の生徒は合言葉を知らない筈だし……」
「……そうなんだよ」
「決まりだな。盗んだ犯人は、前の日記の所持者だ。ハリーが日記を持っているのを知って、取り返しに来たんだ」
「だけど、どうして取り返しに来たの?わざわざトイレに捨てに行ったのに」
「そこは、謎だな」
結局そこで話し合っても良い案は浮かばず、24時を回ったので全員ベッドに戻ることにした。明日はグリフィンドール対ハッフルパフ戦だ。ハリーには休養が必要だ。
翌朝、ハーマイオニーがハリーを応援しようとカーテンを開け、無理矢理クリスを起こそうとした。しかしクリスは布団ので亀のように頭を引っ込めて完全防御の態勢に入った。
「ハリーがスニッチを取る瞬間を見逃しても、知らないからね!」
そう言うと、ハーマオニーは怒って部屋を出て行ってしまった。真っ暗でうずくまった体勢を取っていると、不思議な感覚がクリスを襲った。まるで闇の中で、上も下もない不思議な感覚。それと同時に、例の気味の悪い声がクリスの頭の中に響いてきた。
『マグル生まれは死ね――皆死んでしまえ』
(そうだ、死ね――死ぬんだ。純血以外は全員殺す)
『殺される前に……殺してやるんだ』
(そう、この世は純血のみ相応しい)
『マグル生まれは悪だ。純血のみ相応しい』
(――……がう)
『マグル生まれは悪をもたらす。その前に全員殺してやるんだ』
(違う……)
『殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、』
「違う!!」