第23章 【最悪のバレンタイン】
本当に可哀相なのはジニーだった。ジニーは恥ずかしいやら泣きたいやらで、顔を真っ赤にした顔を両手で隠して、教室へ飛び込んで行った。
クリスとロンはドラコに杖を向けたが、これ以上点を引かれたくないのと、ナメクジの呪いでまた苦しむのを見たくないハーマイオニーがそれを止めた。
それからクリスは不機嫌なままだった。こんなバカバカしいバレンタインデーの所為で、ハリーとジニーが赤っ恥をかくなんて。こんなことを考えた奴は、それこそアイロンで手を火傷しろと思った。そしてこんなことを考えた憎きギルデロイ・ロックハートはニコニコ顔で夕食をとっている。それを見て、またクリスの機嫌が悪くなった。
「死滅しろ、ギルデロイ・ロックハート」
「先生はこんな事になるなんて思いもしなかったのよ。良いじゃない、お祭りなのよ?」
「そのお祭りで?ハリーとジニーが傷ついても良いって?」
「そうは言ってないけど……」
そう言いながら、とろんとした目つきでハーマオニーは先生たちのテーブルを見た。けばけばしいピンクのローブが揺れる度、ハーマイオニーはくすくすと笑った。これは何を言っても駄目だと思ったクリスは、ハーマイオニーを置いて談話室に戻った。