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ハリー・ポッターと純血の守護者

第23章 【最悪のバレンタイン】


「大広間を出る寸前で良いよ」
「いや、暫く放っておいても大丈夫だよ、クリスなら寝ながら教室まで行くから」
「そう?その前にちょっとだけでもこの大広間を見せてあげても――」
「「それだけは、絶対無い!」」

 結局、ロンの言う通り寝ながら教室まで歩かせることにした。しかしいつ見ても、寝ながら歩くこの技術は大したものだ。今日の最初の授業は、変身術だった。ロックハートの小細工した『愛のキューピット』は授業の最中にも遠慮なく入って来た。初めてそれを見て、クリスが驚きのあまり椅子から立ち上がったが、マクゴナガル先生は見て見ぬふりをしてくれた。
 この『愛のキューピット』達は、時間関係なく、何処にでも現れた。今日、魔法薬学の授業がなかったのが幸いと言えよう。しかし、ハリーには人生最悪ともいえる瞬間が待っていた。丁度の呪文学の授業に向う途中、1匹の『愛のキューピット』がハリーに向かって声をかけてきた。

「おお、あなたです!アリー・ポッター!」

 まさか自分にカードが配られると思っていなかったハリーは、一目散に逃げようとした。しかし『愛のキューピット』はハリーの両足にしっかりとへばりつき、ハリーを動けなくさせた。

「アリー・ポッター直々にお渡ししたい歌のメッセージがあります」
「ここじゃダメだよ!!」
「いいえ、ここでお聞きしてもらいます!!」

 なんだなんだと人だかりが出来て、ハリーは顔を真っ赤にさせて逃げようとした。しかも人だかりの中にはジニーと、パーシーと、なんとドラコまでいた。ドラコの前で歌のメッセージなんて聞かれたくないハリーは無理矢理逃げ出したが、今度は『愛のキューピット』はハリーのカバンにくっつき、ハリーのカバンを引き裂いてしまった。

「何の騒ぎだい?」
「チッ、ドラコ、ちょっと――」

 歌のメッセージなんてドラコに聞かれたら、ハリーは死んでしまうと思ったクリスは、ドラコを廊下の向こうに連れて行こうと手を取ったが、先にドラコに気づかれてしまった。

「おや、あそこにいるのはポッターじゃないか」
「いいから、お前は向こうに行って……」
「どうして?僕がここにいちゃいけない理由でもあるのかい」
「い・い・か・ら!」
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