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ハリー・ポッターと純血の守護者

第22章 【黒い本】


「僕だったら、しっぽが引っ込むまで宿題なんてやらないけどなあ」
「何言ってるの?遅れた分を取り戻さなくちゃ」

 分厚い本を何冊もハーマイオニーの脇におくと、ロンはため息を吐いた。

「それで、何か進展はないの?」
「僕たちの方は何にも。せめてマルフォイ家の応接間に秘密の部屋があることくらい。あと、犯人はマルフォイじゃないってこと」
「ほらな、私の言った通りだ」
「じゃあ君は何か情報を掴んできたのかよ」
「ああ、頭がパンクするほどね。だけどここじゃ言えない。ハーマイオニーの回復を待ってからだ」
「回復ねぇ、いったいいつになることやら――なんだい、それ」
「これは――ただのお見舞いカードよ」

 枕の下からちょっとだけ顔を出していたのを、ハーマイオニーが引っ込めようとするより先に、ロンが引っ張り出した。金縁に真っ赤な表紙でキラッキラに輝いている。

【ミス・グレンジャーへ】
 早く良くなるようにお見舞い申し上げます。
 勲三等マーリン勲章、闇の魔術に対する防衛術連盟名誉会員、
『週刊魔女』5回連続チャーミング・スマイル賞受賞
            ~ギルデロイ・ロックハート~

「なんだよこれ、本文より自分の肩書の方が長いじゃないか」
「良いでしょッ、別に!」

 ハーマイオニーはサッとカードを取り返すと、再び枕の下に敷いた。その時マダム・ポンフリーが夜の薬を持ってきたので、3人は追い出されてしまった。

「あんなカッコつけ、いったいどこが良いんだよな?」

 グリフィンドールの寮に戻りながら、ロンが言ったクリス。も同意見だったが、女の友情の為口には出さなかった。ハリーも「ははは」と苦笑いをしていたが否定はしていなかった。3階の廊下に差し掛かった時、誰かが叫んでいる声が聞こえてきた。あの声はフィルチだ。

「もう我慢ならん!床を拭いても拭いても後から水が出てくる!もう2時間はモップがけをしているぞ!!もう沢山だ、ダンブルドアに直接訴えてやるッ!!!」
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