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ハリー・ポッターと純血の守護者

第22章 【黒い本】


 約800年続くグレイン家の家系図は相当なもので、全部目を通すのに3か月はかかるかとも思われた。それにこの家系図、昔に遡ってみると、いくらスリザリンの血統を守るためとはいえ、いとこは勿論、叔父や姪、兄妹や、はては親子まで結婚させられている例もあった。それを見て、クリスは吐き気がしてきた。
 しかし今はそんなものに関心をとられている暇はない。クリスは50年ほど前をさかのぼってリドルと言いう姓が無いかを調べた。が、生憎これといったものは見つからなかった。
 クリスはアルバムと家系図を元に戻すと、出かける支度をした。こうなったら直接マルフォイ家に突入して、何か情報を聞き出す。クリスは煙突飛行を使ってマルフォイ家に乗り込んだ。

 マルフォイ家に着くと、ルシウスおじ様は不在だと言われた。代わりにナルシッサおば様がお茶の相手をしてくれた。上品で優しいナルシッサおば様は、母親のいないクリスにとっては母親代わりのようなものだ。ルシウスよりも気軽に話せる。しばらく他愛のない会話を続けたあと、クリスは本題に入った。

「ところでおば様、『秘密の部屋』ってご存知ですか?」
「『秘密の部屋?』あのスリザリンが残したという伝説の部屋の事かしら?」
「ええ。最近部屋が開かれて、生徒を襲っているって評判なんです。もしかしたら、おば様なら何かご存じじゃないかと思って――」
「―クリス―。」

 それまで穏便だったナルシッサの笑顔に、僅かだがひびが入り、それ以上は有無を言わせない圧力がのしかかった。

「それとこれとは、貴女には関係のないことよ。心配しないで、貴女は純血なのだから襲われる心配はないわ」
「……分かりました」

 これ以上何も聞けなかったが、今はっきりとした。秘密の部屋に、何かマルフォイ家が関係している。その後、何事もなかったかのようにお茶会は続いたが、クリスはもう何も言わなかった。その代り、一言だけこういった。

「おば様、この間ドビーが作ったパイが美味しかったから、レシピを聞きにドビーをお借りしてよろしいですか?」
「ええ、良いわよ。ドビー!」

 パチンと言う音と共に、みすぼらしい枕カバーを逆さにかぶった屋敷しもべが現れた。
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