第22章 【黒い本】
クリスは悩んでいた。今直ぐホグワーツに戻ろうか、それともクリスマス休暇を目一杯を使って、自分で調べようかと。ハリー達の状況は気になるし、かといってこの休暇を使ってルシウスおじ様に聞きたいことも沢山ある。それに実家の書斎は情報の山だ。調べるにはうってつけである。色々総合した結果、クリスマス休暇を使って調べられるだけ調べることに決めた。それにドビーにも聞きたいことが山ほどある。
クリスはまず書斎に向かった。ここには不思議な魔法が掛けられており、調べ物をするにはもってこいの部屋だ。
「トム・リドルに関する事なら何でもいい、探しだせ」
円筒形の部屋に描かれた魔方陣が光り輝いたと思うと、足元には1冊の本が出てきただけだった。
「なになに、ホグワーツの卒業アルバム?」
ページをペラペラとめくっていくと、トム・マールヴォロ・リドルという青年が見つかった。ホグワーツ特別功労賞、ホグワーツ主席合格生、ホグワーツ監督生、魔術優等賞と、出てくるわ出てくるわパーシーにも劣らぬ、賞を総なめしたまるで生徒の鏡のような人物像。
「これのどこが秘密の部屋に関係あるんだよ!!」
ぷんすか怒りながらページを見ていると、あることに気が付いた。このトム・リドルという人物、スリザリン出身だ。
「じゃあ、この人が以前の「真の後継者」?」
年号を見てみると、丁度50年前の人物だ。その子か孫にあたる人物が、今の「真の後継者」なのか?それにしては何かがおかしい、何かが引っ掛かる。我が家の秘密の部屋にいた絵画の人物から聞いたスリザリンに伝わる詩は、「双子の乙女」と言っていた。と言う事は、真の後継者は女の子になるはずだ。しかし、今のスリザリンに双子の女子はいない。
「うーん、なんだろう。「純潔」は純血の魔法使いの事だから、「双子の乙女」は何を意味するんだろう。ふたご座は兄弟だし……」
やはり、自分が「真の後継者」なのだろうか。自分でも知らぬ間に生徒を襲っているのだろうか。眠っている間に襲っているとすれば、全ての説明がつく。しかしそれなら、このトム・リドルと自分の関係は何なのだろうか。クリスは気になってグレイン家の家系図を呼び出した。