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ハリー・ポッターと純血の守護者

第21章 【秘密の部屋】


 やはり雑誌から目を離さず彼女は答えた。それが当たり前のようで、クリスはちっとも気にならなかった。むしろ気になるのは、例の発言の方だった。

「前に私の事を『白いにおいがする』って言っていたけど、あれってどういう意味だ?」
「どういう意味も何も、そのまんまの意味。リョースアールヴまでは足りないから」
「足りないって、何が?」
「光が」
「???」

 話せば話すほど訳が分からなくなってきて、クリスは話をやめて彼女を凝視した。顔を見る限り、どうやらからかわれている訳でもないらしい。そうこうしている内に駅に着き、クリスは馬車を下りた。

「そうだ、君の名前は?」
「ルーナ。ルーナ・ラブグッド」
「ルーナか、良い名前だな。覚えておくよ」

 そう言ってクリスは汽車に乗った。席はどこも満員で、やっと1席空いているところを見つけた。しかしそこではクリスは招かれざる客だったようで、ハリーの親友と言う事で、ヒソヒソと声を落としながら噂話のネタにされた。
 初めの10分くらいは我慢していたクリスだったが、だんだん我慢しきれなくなって大きな咳ばらいをした。

「コホン!――どなたか何か言いたい事があるようだが、あるならあるでハッキリ言ってもらおうか。噂話のネタにされるのは好きじゃない」

 クリスは堂々と言って見せた。コンパートメントの中は水を打った様にシーンと静まり返り、それ以来、皆口をつぐんだままだった。やっと静かになったコンパートメントで、クリスは寝たふりをしながら不気味なくらい静かな旅を進んだ。

 やっとキングズクロス駅まで着くと、クリスは「夜の騎士バス」を呼び出して漏れ鍋まで乗っていった。グリンゴッツのトロッコの次に快適ではないバスの旅を終えると、今度は煙突飛行を使い、やっと自分の家にたどり着いたときにはヘロヘロになっていた。

「チャンドラー、ご主人様のお帰りだぞ。荷物を運べー……」

 暖炉から這い出ると、疲れて最後の方はトランクに寄りかかりながら言った。突然の帰宅に、チャンドラーは大きな目玉をより一層大きくしてキンキン声で喋った。
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