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ハリー・ポッターと純血の守護者

第21章 【秘密の部屋】


 今年は記録的な猛吹雪が吹いていたが、それよりも記録的なのは、クリスマスに家に帰る生徒の数だった。みんな生き物だけでなく、ゴーストまでもが襲われたことについて、ただならぬ恐怖心を持っていた。これは事件が解決するまで家に引きこもる生徒も出るのではないかと噂された。
 そんな中で、クリスも同じように外套に身を包み、3人に短いお別れの挨拶をしていた。

「なあハーマイオニー、どうしても家に帰る気はないのか?」
「何度も言わせないで、後ちょっとで苦労してきたポリジュース薬が出来上がるのよ。これを使うチャンスは2度とないわ。虎穴に入らずんば虎子を得ず、よ。これでマルフォイの正体を暴いてやるわ」
「それじゃあ約束してくれ、絶対に危ない真似はしないと。危険だと思ったら、すぐに逃げること」
「分かってるって。ハーマイオニーの事は僕らに任せて、君はゆっくり休暇をとって来いよ。ここの所十分に寝てないんだろ」

 ロンの言うとおり、ジャスティンと首なしニックが襲われて以来、クリスはまともな睡眠が取れていなかった。もしかして自分が寝ている間に誰かを襲っていたらと思うと、恐ろしくて目が覚めてしまうのだ。そういう意味では、家に帰った方がゆっくり眠れる。

「それじゃあ行くけど、何かあったら遠慮なく連絡してくれ。それと、ハリーもあんまり気を落とさないようにな」
「僕としちゃ、休暇で皆いなくなるほうがよっぽど嬉しいけどね」

 ジャスティンと首なしニック襲撃の第一発見者として、今や生徒のほとんどがハリーを真の後継者としてみていた。その為ハリーを見るたびヒソヒソと声を落としたり、指をさしたりするので、もうハリーはうんざりしていた。

「ほら、早く行かないと列車に乗り遅れるわよ」
「分かった。じゃあみんな、休暇を楽しんでくれ」
「ああ、君もね」

 3人に見送られ、クリスは駅へと向かう馬なしの馬車に乗った。すると後から、例の大広間であった雑誌を逆さまに読んでいた不思議な少女が乗り込んできた。相変わらず雑誌を逆さまに読み、耳には大きなかぶの耳かざり。首には魔よけのペンダントがじゃらじゃらつけてあり、どこか夢見がちな目をとろんとさせている。

「やあ、久しぶり。私の事覚えてるか?」
「覚えてるも何も、あんた有名だもん。あんたの友達の方がもっと有名だけど」
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