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ハリー・ポッターと純血の守護者

第20章 【パーセルマウス】


「そこが甘いんだよ、ハンナ。いいかい?ポッターは赤ん坊の時に『例のあの人』を倒したって言われてるけど、本当の事は誰も知らないんだ。それにどうして『例のあの人』がポッターを狙ったと思う。自分以上の闇の力を持っていると思ったからさ。だから『例のあの人』はポッターが力をつけない赤ん坊のうちに、ポッターを殺そうとしたのさ。だけど、ポッターの悪の力の方が強すぎて、逆に倒されてしまったというわけさ」

 ついにアーニーの言葉がハリーの逆鱗に触れた。両親を亡くした痛みを、ハリーはまだ抱え込んでいる。それなのに自分の力の所為で両親を殺されたと言われては、ハリーとしては黙っているわけにはいかなかった。
 ハリーは身をひそめていた本棚から、大股でハッフルパフ生の集まるテーブルまで行った。そして音を立ててテーブルを叩くと、ニッコリ笑ってこう言った。

「やあ、僕ジャスティンを探しているんだけど、皆どこにいるかしらないかな?」

 それをみたハッフルパフ生は、皆顔面蒼白になり、目配せしあった。結果、アーニーに皆の目が集中した。唇が震えていたアーニーは、まるで覚悟を決めた様に唇をかみしめると、ひっくり返った声でこう言った。

「あ、あいつに何の用だ?」
「いや、大した用じゃないんだけどね。決闘クラブでの蛇の事なんだけど、本当は何が起こったのか彼に話したくてね」
「僕たち皆あの場にいたんだ!分かってるぞ、君がジャスティンに蛇語を使って蛇をけしかけたってことを」
「僕はけしかけてなんていない!逆に助けてやったんだ!!」
「うそだ!蛇はもう少しでジャスティンの所に……」
「違うって言ってるだろ!!」

 ハリーの怒りに燃えるエメラルドグリーンの瞳を見て、アーニーは怯み、少しでもハリーから遠ざかろうと背中をそらせた。

「いいい言っておくけど、ぼぼ僕の家系は九代目までさかのぼれる魔女と魔法使いの家系なんだぞ、僕の血は誰にも負けないくらい純潔で……だから、その――」
「もういい!!純潔だのなんだの沢山だ!!!」

 怒ったハリーは、そのまま踵を返し図書館を後にしてしまった。ハリーの怒鳴り声を最後に、図書館に不思議な沈黙が漂う。

 ――パチ、パチ、パチ、パチ。
 その沈黙を破るかのように、本棚の脇から拍手が聞こえてきた。他の誰でもない、この会話を聞いていたもう一人の人物、クリスだ。
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