• テキストサイズ

ハリー・ポッターと純血の守護者

第19章 【決闘クラブ】


「皆さん、これは喧嘩じゃありません!あくまで武器を取り上げるだけです、落ち着いてください」

 ロックハートの声が檀上から聞こえてくる。どうやらクリス達だけではなく、ほかの組も真面目に呪文を唱えている人々はいないみたいで、あちこちからぎゃーぎゃー喧騒が聞こえ、組によっては杖を使わず殴り合いの喧嘩に発展していた。
 見るに見かねたスネイプが生徒の間に躍り出ると、次々と呪文を解いて組をひきはなしていった。もちろんクリス達のところにも来たが、パンジーの魔法とを解き、何も言わずにパンジーを連れて去って行った。だが、パンジーは何か言いたそうに何度も何度もクリスの方を振り返っていた。それを無視して、クリスは顔や腕にできた傷をハンカチで拭った。

「なんとまあ、これでは決闘クラブではなく喧嘩クラブです……」

 このありさまを見て、ロックハートが大きくため息をついた。騒動が終わったころには、何人もの怪我人が出ていて、医務室に連れて行かされるところだった。

「皆さんにはむしろ、決闘より術の防ぎ方をお教えした方が宜しいみたいですね」

 ロックハートはスネイプをチラリと見ると、スネイプはギラリと睨み返し、ロックハートの身を縮こまらせた。困ったロックハートは、まだ元気そうな生徒に目を付けた。

「あー、誰か進んでモデルになってくれる組はありますか?――そうだ!ポッターとマルフォイ、お二人でどうだね?」

 ハリーは一瞬、ゲッと言うような顔をしたが、ドラコは願ったり叶ったりというような顔をしていた。ドラコはきっと公衆の面前でハリーの顔を潰すつもりなんだ。そんな事はさせないと、クリスが名乗り出ようとした時には、もう壇上にドラコが上がっていた。

「さあ、ポッター、壇上へ。……良いですか?マルフォイが君に杖を向けたらこんな風にしなさい」

 ロックハートがハリーに小さく耳打ちをしていると、くねくねとカッコつけた構えをして、挙句の果て杖を取り落していた。ダメだ。こんなんじゃスネイプを味方につけたドラコに勝てるわけがない。今頃ドラコはスネイプから何か必勝法を教えてもらっているところだろう。クリスは眉間にしわを寄せた。
/ 294ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp