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ハリー・ポッターと純血の守護者

第19章 【決闘クラブ】


「さあ、では私の合図でいきますよ!1、2、3――それ!!」
「サーペンソーティア!!」

 ハリーより、ドラコの方が早く呪文を唱えた。するとドラコの杖の先が炸裂して、杖の先からにゅるにゅると黒い大きな蛇が出てきた。その蛇が二人の間をわる様に間に入ると、見物していた生徒たち全員が悲鳴を上げ、そこだけぽかんと誰もいない空間ができた。
 蛇は鎌首をもたげ、ゆっくりとハリーの方へ近づいていく。

「動くな、ポッター」

 スネイプは余裕綽々といった様子で蛇に近づいて行った。ハリーが何もできず立ちすくんでいる姿を見て喜んでいるのが良く分かる。これではどちらも蛇のようだ。

「吾輩が消してやろう」
「いいや!それには及びませんよ!!」

 余計なところで、また余計なものが出てきた。ロックハートは自信満々と言った様子で蛇に近づき、杖を構えてこう言った。

「ヴォラーテ・アセンデリ!」

 途端に杖が爆発したような音が鳴ったかと思うと、蛇は消えるどころか2、3メートル空中を飛び
、再びズドンと音を立てて地面に落下した。これに怒り狂った蛇は鋭い目つきで生徒たちの方を向き舞台の正面にいた、ジャスティン・フィンチ・フレッチリーめがけて鎌首をもたげ臨戦態勢に入った。他の生徒たちも恐怖で体が動かなくなってしまい、震えたまま蛇から目を離せずにいる。
 これはまずい。クリスはジャスティンの首根っこを摑まえて逃げようと舞台の正面に躍り出たが、それよりも先に、ハリーが蛇に一歩近づいた。

『彼に手を出すな、去れ』

 その声を聞いて、クリスは自分の耳を疑った。ハリーが今、蛇に命令をした?それも訓練などではない、とても流暢なパーセルタングで!?しかしその証拠に、蛇はハリーの言う事を聞いてその場に大人しくうずくまった。ハリーはほっとしたように小さくため息をついた。

「いったい何の冗談だよ!!」

 一瞬の静寂をきって、ジャスティンが怒鳴った。そしてハリーを睨むとそのまま怒って大広間を後にした。ハリーは何が起こったのか分からないという様子で、生徒たちの顔をきょろきょろと見回している。この場に居る全員がハリーが何をしたか分かっていないだろう。クリスは人ごみの中、ハリーの首根っこを掴むと、全速力で大広間から逃げ出した。
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