第19章 【決闘クラブ】
そんなこんなで、4人はおお張り切りで夜の8時に再び大広間へと集まった。大広間は食事用のテーブルの代わりに長い舞台が設置され、空中には何千と言う蝋燭が浮かんで辺りを照らしている。そしてその下には、興奮したホグワーツ生徒のほとんどが杖を持って今か今かと開催を待ち望んでいた。
「それにしても、いったい誰が教えるんだ?」
「きっとフリットウィック先生よ。先生って若いとき、決闘チャンピオンだったんですって」
「へ~、人って見かけによらな――うぇっ!」
出て来た講師陣を見て、ハリーは最後の言葉が言えなかった。壇上に上がったのは誰であろう、あのギルデロイ・ロックハートと、セブルス・スネイプの2名だった。ロックハートが深紫のローブをバサッと翻すと、女子陣から「キャーッ」という甲高い歓声が上がった。その歓声に、眉間のしわを益々深めたスネイプが、いつもの黒装束で立っていた。
「皆さん、静粛に!静粛に!」
ロックハートは大げさに手を広げ、観衆が静まるのを待った。
「皆さん、私の姿が良く見えますか?私の声が良く聞えますか?そこのチャーミングな子、大丈夫ですね?」
ロックハートは隅の方にいる女子生徒に、キラッと星が飛ぶようなウィンクをした。それを見て、また女子たちが甲高い声を出した。
「ダンブルドア先生から、この小さな決闘クラブを開催する許可をもらいました。それもこれも、全て私の“経験”に基づく物で、ただ机の上で勉強するだけでは、私のように“一流”の魔法使いにはなれないという結論にたどり着いたからです。私がどんなに“危険で恐ろしい”怪物と出会っても、それを乗り越えてきたのは、私の“著書”を読んでくれれば、一目瞭然だと思います」
所々強調しながら説明してくるので、クリスがうんざりしながら聞いていた。その隣で、ハーマイオニーはまるで福音でも聞いているかのようにボーっとしている。
「それでは、助手のスネイプ先生をご紹介しましょう。今回、決闘クラブに勇猛果敢にも、私の相手をしてくれることになったスネイプ先生です。先生が仰るには、私ほどではないにしても、多少決闘の事についてご存知らしいので、今回の模範演技をするお手伝いをしてもらうことになりました。おっと皆さん、心配しないで下さい。模範演技と言っても、ちゃんと私が手加減しますからね。大丈夫ですよ」