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ハリー・ポッターと純血の守護者

第19章 【決闘クラブ】


 全員が『ぺしゃんこ薬』をもらい、教室も静かになりかけた頃、スネイプはグラップの大鍋の底をさらい、黒焦げになった花火のかけらを取り出した。すると、急に教室が水を打ったようにシーンと静まり返った。

「これを投げ入れた者が誰だか分かった暁には――」

 スネイプの憎悪を孕んだ声に、クラス中の人間がごくりと唾を飲み込んだ。

「我輩がそやつを即刻“退学”にしてやる」

 スネイプは完全にハリーが犯人だと思って睨み付けていたが、ハリーは教室中の皆と同じように「いったい誰だろう」と首をかしげていた。それから終業ベルが鳴ると、4人は新しく手に入れた物を大切に持って足早に教室を後にした。
 嘆きのマートルのトイレに向かう途中、ハリーは冷や汗をかきながら話しかけた。

「僕絶対犯人だと思われてるよ、100ガリオン賭けても良い」
「大丈夫だって、あんな花火、いつ誰でも手に入るから」
「それよりもこれよ、これ!ああ、手に入って本当に良かった」

 ハーマイオニーはどこかご機嫌にスネイプからちょろまかせたブツを持って走っていた。本当は薬が完成するのを1番楽しみにしているのは彼女なのかもしれない。トイレに入ると、ハーマイオニーは鼻歌を歌いながら材料をかき混ぜていた。

「あと2週間で出来上がるわよ」

 鼻歌まじりにそう言う彼女だったが、煎じ薬はまるでトロールのゲロのような色をしてブクブクとあわ立っていた。これを飲まずに済むと思っただけで、クリスの心は軽くなった。

* * *

 それから1週間後、掲示板の前になにやら人だかりが出来ていた。良く見ようと爪先立ちすると、『決闘クラブ』と書かれた羊皮紙が張られていた。

「今夜が第1回目だって!」
「行ってみようぜ!!」

 顔の知らないグリフィンドール生が、興奮気味に話している。クリス達はもっと良く見ようと、人ごみを掻き分け掲示板のまん前まで来た。そこには決闘クラブの詳細と、日程が書かれていた。

「どうする?行ってみる?」
「私、本では読んだことあるけれど、実際に見るのは初めて。ねえ行ってみましょうよ」
「ま、今夜は宿題もないし。行くとしますか」
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