• テキストサイズ

ハリー・ポッターと純血の守護者

第18章 【嘲笑う者】


「猫だけじゃ不十分だって、僕も思っていたところさ。それで、次は誰をやるんだい?僕としては、あの穢れた血のグレンジャーだと嬉しいんだけどな」

 知らず知らずの内に、クリスの右手は硬く結ばれ、痛いほど爪が食い込んでいた。こいつは私が平気で人に呪いをかけるような人間だと思っているんだ。スリザリンの血を引いているかもしれない、ただそれだけの理由で。
 自分は、例えドラコが純血主義でも平気で人を傷つけるような人ではないと信じていたのに――。

「お前は……私がスリザリンの後継者だと思っているのか?」
「何を言っているんだい?君以外に誰がいるんだよ。純潔で、しかもスリザリンの血を引いている。まあ君が生徒に手を出したのはちょっと驚いたけど、君もついに自分の立場に気づいたって事だろう?」

 その瞬間、クリスの中で何かが弾けた。クリスは握り締めていた右手のひらを頭の上に掲げたが、その手は頬を打つことはなく、ゆっくりと下がりやがてローブの袖に納まった。

「――をどけ」
「何だって?」
「そこを退けと言っている!!」

 クリスは力いっぱいドラコの体を押しのけると、彼の静止を聞かず、元来た道を早足で戻って行った。
 信じていた――心の何処かで、ドラコだけは自分を名前だけで判別しない人だと信じていた。それなのにこれだ――。思いっきり爪の食い込んだ右手が痛んだが、それ以上に心臓の奥のほうが100倍も1000倍も痛かった。
/ 294ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp