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ハリー・ポッターと純血の守護者

第18章 【嘲笑う者】


 医務室にむかいながら、頭の中では夢での出来事がグルグル回っていた。どうしてネサラは喋らないのか、その必要が無いからだ。ヤナフとウルキはパーセルタングを覚えさせる為に、代々言葉を操れるように訓練されてきたのだ。そして我が家に隠された秘密の部屋とその使命。それが分かればホグワーツにある秘密の部屋も分かるかもしれない。何しろ、サラザール・スリザリンが残した最後のものだ。スリザリンの血を引く者として、絶対に、誰よりも早く見つけ出し、再び封印しなければならない。
 軽くノックをして、クリスは医務室に入った。丁度ハリーはマダム・ポンフリーに腕の調子を見られながら朝食を取っているところだった。

「やあハリー、調子は?」
「まだちょっと違和感あるけど、昨日よりは100倍マシみたい」

 クリスはハリーのベッドサイドに腰をかけると、真正面にあるベッドを見た。中が見えないようしっかりとカーテンがしかれ、そこにコリンがいることが分かった。マダム・ポンフリーの診察が終わると、クリスはすぐさまコリンの話を切り出した。

「ハリー、あそこに眠っている人だけど……」
「うん、知ってる。コリンでしょ。夜中に目が覚めたとき、石になって運ばれてくるのを見ちゃったんだ、僕。それだけじゃない、夜中にドビーって言う屋敷しもべ妖精がやってきてね――」
「ちょっと待て、何でハリーがドビーの事を知っているんだ?」
「へ?なんでクリスがドビーの事知ってるの?」
「ドビーって言えばマルフォイ家の屋敷しもべ妖精だ。あの屋敷には何人もの屋敷しもべ妖精がいるけど、その中でも変人の類だな」
「変人?」
「屋敷しもべ妖精っていうのは屋敷の人間に絶対の忠誠を誓っていて、働く事を至上の喜びだと思ってる。だけどドビーは……あまり屋敷の人間に忠実ではないかな。よく自分でルールを破っては自分で自分を罰してるよ」

 変人といえばグレイン家のチャンドラーも屋敷の人間に説教をかます一種の変人だが、純血主義の屋敷の中ではクリスの方が変人扱いを受けており、これはクリスにも非があるので伏せておいた。
 クリスの話を聞いて、ハリーは納得がいったように何度も首を振った。
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