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ハリー・ポッターと純血の守護者

第18章 【嘲笑う者】


「クリス、クリス!!」

 揺り動かされて、クリスはハッと目を覚ました。まるで長い長い夢の世界から、一瞬で現実世界に呼び戻されたような気がした。それもそのはず、クリスが目を覚ましたのは眠ってから3時間と経っていないのだ。クリスの頭の中では、夢の中の出来事がついさっき起こった出来事のように生々しく感じられて仕方なかった。
 しかしそんな事を払拭する大事件がハーマオニーの口から告げられた。

「クリス、大事件よ!ついに生徒が……コリンが襲われたわ!」
「なん……だと?」

 コリンと言えば、昨夜ハリーのお見舞いに行くというので顔を合わせたばかりだ。今思えばなぜ行かせてしまったんだろう、止めていたら、被害を免れたはずなのに。

「……クソッ!!」

 クリスはテーブルを思い切り叩いた。その勢いに、ロンもハーマイオニーも驚きを見せた。

「どうしたんだよ、クリス」
「見たんだ……」
「見たって、何を?」
「コリンが夜中ハリーのお見舞いに行くところを、私は見たんだ。でも止めなかった、そのせいでコリンは――」

 後悔の念に、握るこぶしにグッと力が入る。生徒の多数はこの事を知っているようで、談話室内はこそこそとコリンの一件を話すのに夢中になっていた。それが余計に、クリスを攻めているような気がしてならない。唇をかみ締めるクリスに、ハーマイオニーが優しく手を握った。

「クリス、起こってしまったことはもうどうしようもないのよ。それよりも自分たちに出来る事に専念しましょう」
「そうだよ、襲われたって言ったって死んだわけじゃない。ミセス・ノリスと一緒で石になってるだけらしい」

 マンドラゴラが成長すれば元通りになるって、とロンがわざと明るい声で励ました。

「とにかく、私たちはポリジュース薬の製作に取り掛かるわ。あなたは医務室に行ってハリーの様子を見て来て」 
「分かった」

 クリスが宿題を片付けて談話室に戻ると、もうそこにはハーマイオニーとロンの姿は無かった。クリスも太った婦人の穴を抜けて医務室へと足早に急いだ。
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