• テキストサイズ

ハリー・ポッターと純血の守護者

第17章 【Memories】


「ああ、お嬢様!やっと食事を召し上がるようになって下さったのですね。この1週間私はお嬢様がパン切れと水だけしかお召し上がりにならないので随分心配していたんですよ。それもこれも全てそこにおわすドラコ様のお陰でしょう……私は信じておりましたとも。ドラコ様ならきっと――」
「――チャンドラー、うるさい。それより食後の紅茶だ」

 一度話し始めると止まらないチャンドラーの話をばっさり切り捨てると、空になった皿と同じくチャンドラーを部屋から追い出した。パチンと音がしてチャンドラーが姿を消すと、クリスはずいっとドラコに近寄った。

「で?そのいいものって何?」
「どうしても見たいかい?」
「そのために食事を終えたんだぞ」
「仕方ないなあ、約束は約束だし、僕も鬼じゃないからな」

 偉そうに目線を高くすると、ドラコは家から持ってきた蓋付きのカゴを手に持った。そして焦らすようにゆっくりと蓋をはずすと、中から小さな真っ白いヘビがこちらを覗いているのが見えた。

「キレイだろ。“あるびの”って言って、生まれつき色が白いんだ。それにほら、この真っ赤な眼。クリスと同じ宝石みたいにキレイだろ?」

 クリスは言葉も忘れて見入ってしまった。ルビーのような赤い眼に吸い込まれそうになる。じっと見つめていると、ヘビの瞳がニコッと笑った気がした。

『こんにちは、お嬢さん』
「こ、こんにちは」
『おや、君は我々の言葉が分かるんだね。珍しい、そんな人間はとっくに絶滅してしまったと思っていたよ』
「そうなの?ドラコにも通じないの?」
「おいクリス。君はいったい何を言っているんだい?」
「何って、このヘビと喋ってる」

 当たり前のようにクリスがそう言うと、ドラコは怪訝な表情でクリスを見つめた。カゴの中のヘビは下をチロチロ出してはその赤い瞳でクリスを興味深そうに見つめている。その時、コンコンと扉をノックする音が聞こえたので、クリスは短く「入れ」とだけ告げた。

「お待たせいたしましたお嬢様。今日はお嬢様お気に入りのクィーンアンを入れてみました」

 しかし誰もチャンドラーの話など聞いておらず、ヘビが喋ったか喋ってないかで言い争いをしていた。2人が言い争うのは元気な証拠と、チャンドラーは気にせずお茶の準備をしていた。しかし――
/ 294ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp