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ハリー・ポッターと純血の守護者

第16章 【小さな大冒険】


 驚きすぎて何も言えなくなってしまったクリスは、パクパクと口を動かした。頭の中が混乱しているクリスに対し、手を握ってきた男の子はばつが悪そうに笑って手を離した。

「ごめんごめん、まちがえちゃった。今かくれんぼしてて、友だちとおもったんだ」
「か、かくれんぼ?」
「うん。良かったらお前もはいるか?」

 ニコニコと笑う少年の顔を見て、クリスは恐る恐る首を縦に振った。すると少年の顔がよりいっそう輝いた。

「良かった。オレの名前はロイド、ロイド・アダムズ。お前は?」

 問いかけられて、クリスは冷やりとした。頭の中に、自分の名前を告げた瞬間、まるで悪魔でも見たような顔をした親子が忘れられない。クリスは下を向いたまま小さく答えた。

「……クリス……クリス・グレイン」
「クリスか、よろしくなクリス!」

 ロイドと名乗った少年は、改めて握手を求めた。その手を恐る恐る取ると、ぎゅっと手を握られクリスは心が解き放たれた様な気分がした。この子は驚かない。クリスのことを、名前だけで判断しない。それがクリスにとって、とても衝撃的だった。

「あと1人なんだ、一緒にさがしてくんない?」
「いいの?」
「いいの、いいの。ばれなきゃ何でもいいの」

 いたずらっぽく笑うと、ロイドは息を潜めて雑木林の中を歩き出した。それに続いて、クリスも息を潜めてロイドの後を追う。2人で雑木林の中を忍び足で歩いていると、ふと風の音に紛れて、葉っぱが大きく揺れる音がした。

「ロイド、あそこ、あそこ」
「えっ?あ、いたいた……ハロルドみ~っけ!」
「ちぇっ、なんだよ」

 木の上から、少年がどさっと飛び降りてきた。やはりクリスと同い年くらいの、黒髪で気の強そうな顔をしている。

「ずるいぞロイド、2人がかりなんて」
「いいじゃん、どうせお前で最後だし。じゃあもどろうぜ」
「待てよ、その前にこいつだれだよ」

 ハロルドという少年がクリスをじろりと見つめた。クリスは緊張で身をすくめたが、間に入ったロイドはなんでもないという顔で笑っている。
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