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ハリー・ポッターと純血の守護者

第15章 【ゴムゴムの腕】


 高だか2年生の魔法使いが、競技用のボールに呪いをかけられるとはにわかに信じがたい。呪いをかけるとしたら、スネイプか、もっと上級生の誰かがハリーを狙ったと考えやすい。しかしこの考えにロンは首を振った。

「またそれかよ。君はいっつもマルフォイを甘く見てる」
「それじゃあ本人に聞いてみれば良いだろ?そのポリジュース薬とかを使って」
「そうね、それもいい考えね……」

 ハーマイオニーは頭の中を整頓するように視線を下げた。しばし沈黙が続いた後、ハーマイオニーが思い出したようにクリスを見た。

「そういえば、貴女今日の“後継者”探しはどうだったの?何か進展あった?」
「いや、誰もいない隙に3階の廊下を探してみたけどなにも。そのうち外から悲鳴が聞こえてきて、窓から覗いて見ればハリーが倒れていたから駆けつけた」
「ほらね、やっぱり。一人で“後継者”探しなんてしてないで、私たちと一緒に観戦していれば犯人を特定できたかも知れないのに」
「それよりもハリー、ドラコ以外に心当たりはないのか?他に誰かに恨まれるような事とか」
「ははっ、ここ最近じゃ味方を見つけるほうが大変だね」

 ハリーの皮肉はもっともだった。例のハロウィーンの日以来、皆のハリーを見る目が変わっているのは身近にいるクリス達が一番肌で感じている。だがハリーに皆が偏見を持っているわけじゃない。バタバタと走る足音が聞こえたと思ったら、突然医務室のドアが開いて、赤いユニフォームを纏った集団がなだれ込んで来た。

「やったぜハリー、俺たち勝ったんだ!何がニンバス2001だよ!!」
「フリントに怒られてる時のマルフォイの顔、見せてやりたかったぜ」
「全てはハリー、君のおかげだ。良くぞあの暴れブラッジャーに対抗してくれた!」

 グリフィンドールチームの皆が、お菓子やかぼちゃジュースを手に一斉に現れた。みんな顔には満面の笑みを浮かべている。毎年行われる因縁の対決に、今年も勝ったことを誇らしく思っているらしい。特にキャプテンのウッドはハリーを抱き締めんばかりの勢いだった。
 まさにパーティが始まろうとした直前、医務室の奥からマダム・ポンフリーが大股でずかずか乗り込んできた。

「何なんです、この騒ぎは!この子には休息が必要なんですよ!!用のない人たちは全員帰りなさい!!!」
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