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ハリー・ポッターと純血の守護者

第15章 【ゴムゴムの腕】


 やっとカーテンが開かれると、パジャマに着替えたハリーが見せ付けるように無表情で腕をぐにゃぐにゃ曲げて見せた。これでもうハリーがロックハートを信用することは今後一切ないであろう。
 着替え終わったハリーに、マダム・ポンフリーが「骨生え薬のスケレ・グロ」というラベルのはいった大瓶を手に現れた。そしてそれをビーカーに並々と注いで渡した。ビーカーからは湯気が立ち上り、飲むのは遠慮したい空気が漂っている。

「骨を元どおり生やすのは荒療治です。まったく、あんな危険なスポーツ早く廃止になればいいのに。それなのにどうして生徒たちと言えば口を開けばクィディッチ、クィディッチって――」

 ブツブツ文句を言いながら、マダム・ポンフリーは医務室の奥へ戻って行った。残されたハリー達はビーカーになみなみと注がれた骨生え薬を見て、暫し硬直していた。しかし腕を再生するにはこれしかない。ハリーは覚悟を決めると、ぐっとビーカーをあおった――とたんに、猛烈な勢いで咳き込み始めた。

「ゴフッ……これ……人間の、飲み物じゃ……ない」
「良薬口に苦し、か」
「良薬と言うより劇薬?」
「飲みづらいのは仕方ないわ、それだけ複雑な薬なんだもの。でもそれを飲めば治るんでしょう」
「さて、ハリーがこんな薬を飲まなきゃいけない原因を作ったのは誰でしたっけねえ」

 ロンがそう言うと、ハーマイオニーはツンとそっぽを向いた。そのやり取りを見ていて、クリスは肝心なことを思い出した。

「ところで、どうしてハリーは骨折なんかしたんだ?フレッドとジョージはどうした?ブラッジャーを叩き落とすのが2人の役目だろ?」
「それだよ!まさにそれ!!」

 クリスの言葉に、ロンは勢い良く前に身をのり出した。

「マルフォイの奴、どうやってブラッジャーに呪いなんてかけたんだろう。普通試合用のボールは、マダム・フーチが鍵をかけて厳重に保管しているはずなのに」
「ドラコが、ブラッジャーに呪い?」
「そうよ。狂ったブラッジャーがハリーだけを狙い続けて、不意を付かれた隙にハリーの腕にブラッジャーが激突したの」
「まさか、ドラコごときが教師の隙を付いて呪いをかけられるはずないだろう」
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