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ハリー・ポッターと純血の守護者

第15章 【ゴムゴムの腕】


 紅茶を飲み終えると、クリスは好奇心を抑えきれず彼女に話しかけてみた。近づいてみると、これまた奇妙な格好をしている。大きなカブのイヤリングに、首には魔除けと思われるヘンテコなネックレスやらペンダントやらがじゃらじゃらぶら下がっている。女の子は雑誌から視線をそらさず挨拶だけした。

「君はクィディッチを見に行かないのかな?皆グラウンドに集まってるよ」
「そういうあんたは?グリフィンドールなんでしょ」
「でも大のクィディッチ嫌いなんだ。おまけに嫌な幼馴染も出てる」
「でも、ハリー・ポッターは好きなんでしょ。いつも一緒にいるの、見かけるもん。あんた達、有名だし」

 ゴシップに全く興味がないこともないらしい。それとも、自分たちが有名すぎるのか。クリスは一瞬くちをつぐんだ。

「そんなに有名?」
「皆が知ってるくらいには」

 という事は、一般的な生徒と同じと考えてよさそうだ。こんな時間に一人大広間にいたから何者かと思ったが、どうやら1学年に1人はいるちょっとした変わり者らしい。クリスはこれ以上彼女といても何の利益もないと考えると、じゃあと言って背を向けた。グラウンドでは選手入場が始まったのか、リーの解説が遠くから聞こえる。

「あんたからは白い匂いがする」
「――はっ?」

 解説に混じり、聞き逃しそうな少女の囁きに、クリスは驚いて足を止め振り返った。静まり返った大広間にグラウンドからの歓声が響く。しかし当の本人は、雑誌を逆さまにしたまま振り返ろうともしていない。

「だから気をつけて、皆あんたを狙ってる」

 意味のわからない言葉に、クリスは一言も返せぬまま後ずさるように大広間を後にした。

 そしてその足で3階の廊下に出ると、クリスはまず全体的に見回した。これと言って変化はない。次にミセス・ノリスがぶら下がっていた壁を丁寧に杖で調べていった。しかし壁から聞こえてくるのは杖が壁に接触する音だけで、特に変化は見られない。ハリーは確かに何者かの音を聞いてこの廊下にやって来たと言っていた。クリスはそっと壁に耳を当てた。

 ――その瞬間、グラウンドから大歓声が巻き起こった。何事かとクリスが窓に目をやると、ハリーがグラウンドに倒れ身悶えている。これは大事件だと、クリスは大急ぎでグラウンドに向かった。
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