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ハリー・ポッターと純血の守護者

第15章 【ゴムゴムの腕】


「ほら、いい加減に、起きなさい」
「………………やだ」

 グリフィンドールのクィディッチ戦の朝は、いつもこの攻防戦から始まる。ハーマイオニーがクリスを観戦に誘おうと、力ずくで布団を引っぺがそうとしているのに対し、クリスは芋虫のように布団を頭からかぶって抵抗している。同室のラベンダーとパルチは我関せずと、とっくに部屋を出ていた。

「今日はグリフィンドール対スリザリン戦なのよ!マルフォイがどんな卑怯な手を使ってくるか、貴女心配にならないの!?」
「……ハリーなら、平気……今日は、継承者の、謎……解く……」
「もうっ!!」

 ハーマイオニーは肩で息をしながら、布団から手を放した。

「ハリーがマルフォイを華麗にやっつけるところを見られなくても、私知らないからね!!」

 そう言うと、ぷりぷり怒ったままハーマイオニーは部屋から出て行ってしまった。静かになった部屋の中で、クリスは満足そうに惰眠をむさぼった。どうもこの朝が弱いのはいつまでたっても直らないらしい。それでも遅刻したことがないのだから、大したものだとハリーとロンは語る。
 それからどれくらい時間がたったのだろう。クリスはもぞもぞと布団から顔を出すと、窓から差す日差しに目をやった。快晴とまではいかないが、雨の降る心配もないだろう。クリスはベッドから起きると軽く身支度を整え、大広間まで降りていった。

 大広間はクィディッチを観戦しようと早めにグラウンドに集まった生徒たちのおかげで、がらんとしていた。ドラコがニンバス2001をチーム全員に買い与えた事で、今年のスリザリン戦は大いに盛り上がっているらしい。そんなことに興味のないクリスは、あくびを1つして適当な席に座ると、美味しそうな匂いのするミルクティーを一口くちにした。朝はやはりこれに限る。
 まったりとした時間の中、クリスはふとレイブンクローのテーブルに目を引かれた。無人と思われた大広間に、自分以外の誰かがいる。1年生だろうか、見慣れないまだ幼さの残る横顔をクリスはじっと見つめた。学校全体が沸き立つクィディッチ戦に、まるで興味がなさそうに雑誌を逆さまにして読んでいる。クリスは一目でその女の子に興味を持った。

「――やあ」
「こんにちは」
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