• テキストサイズ

ハリー・ポッターと純血の守護者

第14章 【別れ道】


 ピシャリッと本が閉じられると、ハーマイオニーは荒い鼻息をついた。

「そう、3人とも怖気づいて止めるって言うなら結構よ」

 ハーマイオニーはバサッと髪をなびかせると3人に向き直った。

「私は規則を破りたくない、分かってるでしょう。でもややこしい魔法薬を使うのと“継承者”を見つけ出すのとどちらが大切だと思っているの?それにマルフォイのしている事がなんなのか知りたくないのなら、これからまっすぐ図書館に向かってこの本を返してくるわ」
「君が僕達に規則を破れなんて説教する日がこようとはね……」
「分かった、やるよ。でもつくるのにどれくらい時間がかかるの?」

 3人は覚悟を決めたようだったが、クリスは腕組みをしたままフーッと息を吐いた。

「なるほど、3人とも本気らしいね。それじゃあ私は一抜けさせてもらうよ」
「クリス!?」
「言っただろ?犯人はドラコじゃないって。3人がドラコを疑うなら疑ってくれ。私は別の線を探す。ま、たまには顔を出すけどね」

 突然の提案に、ハリーとロンは顔を見合わせて口をパクパクさせていた。ハーマイオニーだけが真剣な顔でクリスを見つめている。4人の意見がばらばらになったのは、これが初めてだ。いつだって、危険なことには力を合わせてきた。

「分かったわ、私達は私達のやり方で“継承者”を探す。貴女は貴女のやり方で調査して頂戴。もちろん、隠し事はお互い無しで情報交換をしあうという約束で」
「……いいだろう。それじゃあお互い、健闘を祈ろう」

 ハーマイオニーと握手をすると、クリスはマートルのトイレから出て談話室に向かった。談話室は明日のクィディッチの試合に備え、横断幕の準備や、前祝と称して双子がパーティを開いていてとても賑やかだった。クリスはソファーに身を沈めると、どっと疲れが出てきた。
 これで良かった。でなければ、グレイン家がスリザリン家の子孫だといわれていることがばれてしまうかも知れない。少し3人と距離を置かなければ――その先は――クリスは下唇をかみ締めた。なんとしても、『秘密の部屋の継承者』を探そう。そう、この学校中の誰よりも先に。

 クリスはそっと目を閉じた。そして知らずうちに、左手首を握り締めて眠ってしまった。
/ 294ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp