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ハリー・ポッターと純血の守護者

第14章 【別れ道】


 一抹の不安を残しながら、ハリーは先頭を切って談話室を出て行った。もうこうなったハリーを止める事は誰にも出来やしない。ロン、クリス、ハーマイオニーの3人は黙って彼について行った。

 授業が始まると、ロックハートは早速今日の相方を探した。ロックハートの授業ではもう生き物を持ってくるなど危険なことはしなくなったが、今度は変わって毎回教科書の拾い読みをし、その場で1番盛り上がるシーンを演じているのだった。その相方は大抵ハリーで、毎回ハリーは嫌々演じていたが、今日は名前を呼ばれる前にハリーの腕がビシッと伸びた。

「ハイッ、先生!僕にやらせてください」
「気合が入っているね、よし!OKだポッター!前に出てきなさい」

 後ろの席を陣取っていたロン、クリス、ハーマイオニーは、もうどうして良いやら分からなかった。彼の勇姿を見届けようか、見るに絶えず目を塞ごうか。悩んだあげく、クリスは真っ当にハリーの姿を見ることができず、教科書に隠れて目と耳と塞いでいた。
 それから何分経っただろう、やっと終業のベルが鳴ると、クリスはロンに揺り起こされた。教壇を見るとどれほど白熱したんだろう、息を切らせたロックハートが満足げに頬を高揚させ汗をかいていた。

「今日の宿題だ、今やったワガワガの狼男が私に敗北したことについての詩を書くこと。一番良く書けた生徒にはサイン入りの『私はマジックだ』を進呈しよう」

 3人は後ろの席から生徒が全員いなくなるのを待った。先頭ではハリーとロックハートが今日の健闘をたたえあっている。ハリーの作戦は上手くいったらしい、いつもは見ることの出来ない満面の笑みのロックハートがハリーの手を握っている。流石ハリー・ポッター、やる時はやる男だ。
 生徒がいなくなったのを見ると、ハーマイオニーを先頭にこっそりロックハートに近づいた。そして2人に合わせて機嫌が良いふりをしながら、ハーマイオニーが話しかけた。

「あの、先生……」
「おお!これはミス・グレンジャー。今日の授業はどうだったかね、迫真の演技だったと思うんだが」
「ええ、とてもカッコ良かったです。特に先生が狼男に飛びかかるシーンとか」

 これはハーマイオニーの本音だった。頬を赤らめ、ため息を洩らすハーマイオニーに、ロックハートはますます機嫌を良くした。
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