第13章 【トイレのマートルさん】
「人が見たらどうするつもりなんだ!皆もう大広間についてるんだぞ、それなのにお前達ときたらこんなところで!!」
「何で僕達がここにいちゃいけないんだよ!」
「何でだって!?少しは自分達の状況ってものを考えろ!!」
カンカンに起こったパーシーに対して、ロンは力ずくでつかまれた腕を振り払った。パーシー同様、今やロンの顔も真っ赤になっている。
「もう少しで退校処分になるかもしれなかったんだぞ!可哀想にジニーはそれに胸を痛めてしょっちゅう泣き腫らした目をしている。1年生は皆この事件に過敏になっているんだ、お前は妹が可哀想だとは思わないのか!?」
「そっちこそどうなんだよ!!」
パーシーに対抗して、ロンも怒鳴り声を上げた。
「どうせ兄さんが心配してるのはジニーじゃないんだ!本当は主席になるチャンスを僕が台無しにしようとしてるって事なんだ!!」
「グリフィンドール5点減点!!!」
監督生バッジをいじりながら、パーシーがビシッと言い放った。今やパーシーの顔色は髪の毛にも負けないくらい真っ赤になっている。こんなに怒ったパーシーを見るのは、クリスもハリーもハーマイオニーも初めてだった。
「これでお前達には良い薬になるだろう!探偵ごっこはおしまいだ、さもないとまた吼えメールを送られることになるぞ!!」
最後にそう言い放つと、パーシーは大きな足音を立てて大広間へと向かっていった。その背中を、ロンはいつまでも睨み続けていた。
* * *
その夜、談話室で呪文学のレポートを書いていると、怒り冷めやらぬロンは早々にレポートを諦めて教科書を閉じてしまった。4人はなるべくパーシーから離れた席を選んだが、それでも談話室の空気はいつもよりピリピリして感じられた。
「やってらんない、今日は止めだ、止め!」
「それもそうね」
驚いたことに、ハーマイオニーまでもがロンの言葉に同調してしまった。地球が滅んでも宿題だけはやり遂げると思っていたハーマイオニーにいったい何があったのかと、クリスとハリーは目を丸くするばかりだった。ハーマイオニーはテキパキと荷物をまとめると、思い悩んだように腕組みをした。