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ハリー・ポッターと純血の守護者

第12章 【歴史的な授業】


「全ては作り話です。そんなものは存在しない、したがって部屋も存在しない」
「でも先生、もし部屋がスリザリンの継承者のみに開けられるのなら、誰もそれを見つけることが出来ないんじゃないでしょうか?」
「それは大いなる間違いだ、オッフラハーティ君!」

 今度はシェーマスが手を上げると、ビンズ先生がピシャリと言い返した。「オッフラハーティ君」とはどうやらシェーマスの事らしい。一瞬みんな笑いそうになったが、先生のその顔はいつものしわくちゃのヨボヨボ面でなく、緊張と怒りが入り混じっていて真剣そのものだ。

「歴代のホグワーツ校長先生達ですら見つけられなかったのだ。ですから――」
「でもそこを開けるには、闇の魔法を使わないといけないんじゃ……」
「ミス・ペニーフェザー、勘違いしているようだが、闇の魔術を使わないからと言って使えないのでは決して――」
「でもスリザリンと血が繋がってなくてはいけないんじゃないですか!?」

 パーバティに引き続き、ディーンが興奮気味にそう叫んだ瞬間、ついにビンズ先生の堪忍袋の緒が切れた。

「もう結構、これまで!これは神話であり、先ほども申し上げた通り全ては作り話です!!怖がりやすい生徒を驚かすために創られたただの作り話です!スリザリンの創った『秘密の部屋』どころか『秘密の箒置き場』すら作られた形跡は無いのです!!こんな下らない話に時間を費やしてしまったことを私は今後悔しています!今後一切この話を口にすることは許しません、以上!!」

 その言葉を最後に、『秘密の部屋』の話題は本当に打ち切られてしまった。しかしクリスの中にぐるぐると駆け巡る不安と疑問が胸を締めていた。
 自分の先祖だといわれるスリザリンが作った『秘密の部屋』。その部屋の封印が解け、実際にフィルチの猫が襲われた。いったい誰が封印を解いたのだろう、クリス自身でさえ知らない『秘密の部屋』を見つけたのはいったい誰だろう。そして真の後継者とはいったい誰だろう。考えれば考えるほど気分が悪くなり、クリスは自分の手が震えているのに気づいた。

「――先生」

 機嫌の悪いビンズ先生は、またかとばかりに苦い顔をして振り返った。しかしクリスの顔色を見て表情を変えた。
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