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ハリー・ポッターと純血の守護者

第12章 【歴史的な授業】


「スリザリンは、ホグワーツには選別された者のみが入学するべき他と主張した。マグルの血を一切排除した、純粋な魔法族だけの家系を入学させるべきだと。それに激しく反発したグリフィンドールと言い争いになり、スリザリンはこの地を去ることになりました。ここまでが真実たる歴史が証明してくれる場面であります。そしてここからが伝説と呼ばれる『秘密の部屋』に関わって来るのです。――スリザリンはこの地を去る前に、『秘密の部屋』を創り、この学校に真の後継者が現れるまで扉を封印したと言われております。そして真の後継者のみが『秘密の部屋』の封印を解き放ち、その中に潜む恐怖を解放し、ホグワーツに相応しからざる者を追放すると言う――勿論、全ては虚言であり、不確かな事実に基づく作り話であります」

 しかし、教室にいる生徒の誰もがそれを作り話とは思っていなかった。生徒達の目はなおもビンズ先生に釘付けにされ、更なる話の続きを求めている。好奇心で光る生徒達の瞳を前にしてビンズ先生は咳払いをした。

「コホン――したがって、そのような伝説を確かめるべく学識ある魔女や魔法使いの何人もがこの学校を探索しましたが、そのようなものは発見されなかったのであります。――それでは、授業に……」

 先生が黒板に体を向けようとするより先に、又もやハーマイオニーの手が上がった。先生は無視しようかどうしようか少しためらった後、やおら振り返った。

「あー、ミス・グレンジャー?」
「先生、『秘密の部屋』に封印されたものは何だと思いますか?」
「……何らかの怪物だと言われております。またそれを操ることができるのは“真の後継者”のみだとも言われております」

 クリスは心臓をグッと握り締められたような気分だった。スリザリンの末裔だと言われてきたグレイン家。その血を間違いなく引き継いでいるのはこの学校で自分ただ1人だ。しかし、自分がスリザリンの後継者だとはとても思えなかった。怪物を操った記憶など無いし、ましてや『秘密の部屋』がどこにあるのかさえ知らないのだ。それでも、警鐘のように鳴り響く心臓の音が煩いくらい体中を支配していた。
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