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ハリー・ポッターと純血の守護者

第12章 【歴史的な授業】


 ハーマイオニーがそれまでの苦労を一気に振り落とすように、大きく肩で息をついた。するとちょうど休み時間終了のベルが鳴った。ロンはベルが鳴り終わるギリギリまで大きな文字で走り書きをしていたが、時間が足りなかった。あと6cmと言うところでベルが鳴り終わると、ロンは渋々と羊皮紙を丸め、4人は魔法史の授業の教室に向かった。

 魔法史の授業は、退屈ここに極まれりといった授業で、居眠りをするのにはもってこいだが、起きているとなるとこれほど苦痛を伴う授業も無かった。ゴーストのビンズ先生は毎回埃っぽい教科書を持ってきては、たとえ生徒がいびきをかいていようが単調に文章を読み上げ、それについて黒板に書き写していくだけの単純作業の繰り返しだ。
 クリスもドラコとの約束がなかったら今頃腕を枕に居眠りの真っ最中だろうが、こればっかりはそうはいかない。なにせ変なところで完璧主義のドラコだ、中途半端に写したノートから出来たレポートに満足するはずがない。仕方なく、クリスは午後一という一番眠い時間帯の、それも一番眠くなる授業でずっと起きていなくてはいけない羽目になった。

 だが、この日は魔法史の授業中、歴史的大事件が起こった。なんと授業中に、手を上げている生徒がいるのだ。その生徒とはもちろん他の誰でもない、ハーマイオニーだった。

「先生、質問です。『秘密の部屋』について何か教えていただけませんか?」

 ついにハーマイオニーが特攻に出た、とクリスは思った。ビンズ先生はそれまで書き写していた黒板からチラリと目をそらし、ハーマイオニーを見つめた。何かの聞き間違えだと思ったのだろうか、ビンズ先生はもう一度黒板に目を戻そうとしたが、ハーマイオニーの手はそうはさせまいとピシッと上がったままだった。

「え~、ミス……うー……」
「グレンジャーです。先生、『秘密の部屋』について何か教えて下さい」

 ハーマイオニーはハッキリそう述べた。その途端、先生の持っていたチョークがポキッと折れ、生徒はみな覚醒状態に戻った。この数日間誰もが知りたかったことを、勇猛果敢にもハーマイオニーは直接先生に質問しているのだ。ハーマイオニーの熱気に、ビンズ先生はたじろぐしかなかった。
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