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ハリー・ポッターと純血の守護者

第12章 【歴史的な授業】


 クリスがそんなロンの様子を見ながら暇をもてあましていると、バタバタと足音が聞こえてきた。前の授業で意地の悪いスネイプに後片付けを言い渡されていたハリーが駆け込んでくるところだった。

「良かった、間に合った」
「ハリー、気をつけたほうがいいぞ。マダム・ピンスが睨んでる」

 よほど急いできたのだろう、ハリーは肩で息をしながら「しまった」と言う顔をした。司書のマダム・ピンスは図書館で騒ぐ生徒には容赦はしない。ハリーは何も悪いことはしていませんと言いたげな顔でマダム・ピンスの眼鏡を避けると、ぐいっと2人に身を寄せた。

「ねえ、さっきそこでジャスティンに会ったんだけど、おかしいんだ。挨拶する前にどっかへ行っちゃってさ。まるで僕のことを避けてたみたいに」
「そ、そんなの、君の気にすることじゃないよ」

 それまで一度もレポートから目を離さなかったロンが、バッと顔を上げて言った。その顔には言葉とは裏腹にジャスティン達には気をつけろと書いてある。隠し事ができないのは、ロンの美点でもあり欠点でもある。これでは何かあったと聞いてくれといわんばかりだ。
 ハリーが口を開きかけた瞬間、丁度良くハーマイオニーが本棚の迷路から現れ、ロンの隣に座った。とても怒っているようで、思わずハリーも開きかけた口を閉ざされるを得なかった。そこで3人を代表して、クリスが恐る恐るハーマイオニーに尋ねた。

「ハーマイオニーさん、何があったんですか?」
「何があったって?その逆よ、無いのよ!『ホグワーツの歴史』が全部貸し出されてるの」
「それが何か問題でも?」
「大有りよ、これじゃあ『秘密の部屋』の伝説が調べられないのよ」

 『秘密の部屋』と聞いて、3人の肩がグッとハーマイオニーに吸い寄せられた。今やホグワーツ中の誰もがこの『秘密の部屋』について感心を持っている。恐らく頭の中にカビが生えているだろうグラップやゴイルですらその事について聞きたいはずだ。あの場に居合わせたクリス達が関心を持たぬはずがない。

「それじゃあ、君は今まで『秘密の部屋』について調べてたってことかい?」
「そうよ、でもどこにも載ってないの。他の本にはどこにも」
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