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ハリー・ポッターと純血の守護者

第12章 【歴史的な授業】


「クリスッ!!」

 パンッという乾いた音で、クリスは目を覚ました。目の前にはハリーが両手を合わせたままこちらを見ている。あたりを見回すと、大広間に並べられたテーブルにそれぞれ生徒が座り、朝食を終えて一旦寮に帰るところだった。今日も今日とて、クリスは眠りながら大広間にたどり着いたらしい。

「大丈夫?あと5分しかないよ」
「ん~……大丈夫」
「君の大丈夫ほど当てにならない物はないよね」

 この間なんか寝ながら教室に向かってただろうと、斜向かいに座っていたロンが口をもぐもぐさせながら言った。本当ならここでもう一つお小言が飛んでくるのだが、今日はとても静かだ。不思議に思って隣を見ると、いつもの見慣れた茶色いふわふわのロングヘアーが見当たらない。クリスは未だ覚醒しきらない頭でぼんやり考えた。

「ハーマイオニーは?」
「さあ、図書館に用があるとか言って、先に出かけたよ」

 本の虫とも呼べるハーマイオニーが図書館に出かけるのは今日に始まったことではない。その朝は何も考えずにいたが、ハーマイオニーは休み時間になっても、授業が終わった後も、次の日になっても図書館に通いつめていた。何を調べているのか、読んでいる本の種類は多岐に渡り、聞いても碌に返事も返ってこない。お陰でハーマイオニーと満足に交わす言葉と言えば就寝前の「おやすみ」くらいなものだった。
 そんな日が何日か続き、ある日図書館で魔法史のレポートを終わらせていると、一足も二足も先にレポートを片付けていたハーマイオニーがまたも図書館の棚の迷路の中に消えていった。流石にこれは本にとり憑かれたとしか思えなくなったクリスは、同じテーブルを囲んでいたロンを肘でつついた。

「なあ、あれ何してると思う?」
「知るかよ。おおかたクリスマスまでに図書館中の本を読み漁ろうとしてるんじゃないのか?」

 ロンはメジャーをとりながら「あと30cmもたりない」とブツブツ文句を言っていた。「中世におけるヨーロッパ魔法使い会議」について1m分のレポートが、今のロンにとっての最大の関心事らしい。それもそのはず、あと15分で休み時間が終わり、その後はお待ちかねの魔法史の授業なのだ。クリスはドラコと約束してあったお陰で余裕を持ってレポートに取り組んでおり、なんとか1m10cmのレポートに仕上がっていた。
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