第11章 【真夜中の尋問】
「――そうだ、ビルだったかな。確か昔話してくれた、ホグワーツに伝わる秘密の部屋のこと」
「秘密の部屋?」
「そう、このホグワーツには誰にも空けられない秘密の部屋があるって」
「それと継承者の敵って、何の繋がりがあるのかしら?」
「それにもう一つ、フィルチが言ってたスクイブって何のこと?」
ハリーの質問に、思わずクリスの思考が遮断された。ハリーにしてみれば同じような謎でも、クリスにしてみれば場違いもいいところだ。イスからずり落ちそうになったクリス同様、ロンは笑いをかみ殺してハリーに説明してあげた。
「でも不思議だよね、だったらどうしてフィルチ本人じゃなくて、ミセス・ノリスが襲われたんだろう。相手は猫でしょ」
「それは確かに――」
その時、女子寮の階段から誰かのすすり泣く声が聞こえて、4人は口を閉ざした。こんな時間に誰だろうと、4人の目が階段に釘付けになっていると、だんだんすすり泣く声も近づいて、ゆっくりと小さな足が見えてきた。それからガウンも羽織らずネグリジェだけの姿と、見覚えのある燃えるような紅い髪の毛が、顔を隠すようにして泣いている。
「ジニー!!」
とっさにロンが立ち上がり、ジニーに近づいた。ジニーはちょっと顔を上げ、ロンを確認するとその腕の中で小さくしゃくりあげた。
「どうしたんだよ、お前こんな時間に」
「ロン……猫が……猫が……」