第11章 【真夜中の尋問】
ホグワーツに入学して間もないジニーにとっては、今日の出来事は相当なショックだったのだろう。ジニーが長い時間泣いていたことは、傍で見ているクリス達にも分かった。いつまでも泣いていると、ルームメイトの邪魔になると思って談話室まで降りてきたのだろう。その健気さにクリスまでもが慰めてやりたい心境になった。
「猫が……廊下で……私、私……」
「落ち着けよジニー、お前のせいじゃない。何も心配要らないから。あんなことをした犯人なんて、直ぐに先生達がつまみ出してくれるよ。だから泣くなよ、な、ジニー」
ロンはジニーを抱きしめると、その背中をぽんぽんと優しく叩いた。するとジニーの泣き声がロンの腕の中に吸い込まれていった。ロンはジニーをもっと強く抱きしめると、ジニーもロンの背中にしがみついた。
ああ、これが本当の抱擁なんだろうと、クリスは思った。先日双子が見せたあんなふざけた風ではなく、もっと温かで、安心のできる腕の中。誰かの胸で、我慢することなく全身を預けられる。そんな腕を知らないクリスは、ジニーが心底うらやましくなった。
(私にも、誰かいたらこんな不安がなくなるんだろうか……)
時は既に午前0時をまわっている。小さな少女のすすり泣く声が響く中、ホグワーツの夜はゆっくと深けていった。