第11章 【真夜中の尋問】
「ほん、とうに……本当ですか……ダンブルドア校長」
「ああ、丁度スプラウト先生がマンドレイクの苗を手に入れられてな。それが十分育ったら直ぐにでも猫を治す薬を作らせましょうぞ」
「ならばその役目、私にお任せいただきたい!!」
またどこから現れたのか、部屋の隅で小さくなっていたはずのロックハートが大またで部屋の中心までやってきた。そしてローブをバッと翻すと、自分がこれまで作った魔法薬をつらつら並べ、マンドレイク薬など眠っていても作れると大口を叩いた。
が、それが今度はスネイプの癪に障った。スネイプの青白い顔には青筋が立ち、薄い唇が小刻みに震えている。ハリー達に処罰を与えられなかったことを含め、今やスネイプの機嫌は最悪だった。
「失礼だが、ロックハート教授。この学校の魔法薬学の教授が誰かお忘れでは?」
ここから先はもうクリス達の出る幕ではなかった。そう察知したマクゴナガル先生が小さな声で4人に「帰ってよろしい」と告げると、クリス達は静かにロックハートの部屋を後にした。そして廊下の角まで足音一つ立てずに進むと、それから先は全速力で談話室まで走って行った。
* * *
――それまでが、あの3階の廊下からの出来事だ。
ハリーは大きくため息をつくと、どこから話そうか考えあぐねている様だった。さっきの出来事で、ますます頭が混乱しているんだろう。ハリーはもう一度タルトの端を齧ると、無言でそれを咀嚼した。ロンは持ってきたパイとタルトだけでは足りなかったのだろうか、ハーマイオニーが手付かずで持て余していたパイとタルトを受け取ると、冷めているのもかまわずそれを口に放り込んだ。まるでこれまでの出来事を自棄食いで解消しようとしているようだった。反対にハーマイオニーは下を向いて沈んだままだ。皆それぞれ疲れている。
今日の話は無理かなとクリスが思った時、ハリーがおもむろに口を開いた。
「クリス、僕達がニックの絶命日パーティに行ったことは知ってるよね」
「ああ、もちろん」
「そのパーティっていうのがクリスの言ってた通り最悪なものでさ、僕達隙を見て大広間に行こうとしたんだ。お腹も減ってたし……その途中――廊下で不気味な声を聞いたんだ」
「……不気味な声?」