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ハリー・ポッターと純血の守護者

第11章 【真夜中の尋問】


「なるほど、ではグレインは何故3階の廊下にいたのだ?パーティはまだ終わってなかっただろう」
「骸骨舞踏団は趣味に合わなかったので、先に談話室に戻りました」
「趣味に合わなかった、と」
「ええ――」

 スネイプはまるで陳腐ないい訳だとでも言うように鼻で笑うと、やっとクリスから目をそらした。それからまるで探偵が犯人のトリックを暴く時の様に、部屋の中をゆっくりと歩き回った。

「それならますますおかしい話だな。3人は疲れて談話室へ、グレインも約束通り談話室で3人を待っていたと。それなら何故4人が、たまたま、3階の廊下で鉢合わせたのか。――校長、この4人の証言には正当性を欠いた部分があると思われますが如何ですかな」

 今度はダンブルドアの明るいブルーの瞳が4人を見つめた。スネイプの暗い、底意地悪い瞳に比べ、ダンブルドアの瞳はまるで水のように透き通っているのに、全てを見透かされているような気分になるのは何故だろう。
 クリスは何か出かかった言葉を押し留める様にグッと息を呑んだ。ダンブルドアの瞳を見つめていると、夢のことも、痣の事もどんな小さなことまで吐露したくなってきてしまう。それでも目をそらさずダンブルドアを見つめていると、やがてダンブルドアの瞳がキラリと輝いた。

「疑わしきは罰せず、そうじゃろうセブルス」
「正気ですか、校長!」
「わしは彼ら4人ともに、こんな呪いをかけられるはずがないと思っておる。これは高度な闇魔法、もしくは――それに順ずる何かによって石にされておるのじゃ」
「そんなっ!!」

 フィルチはやり場のない怒りを壁に叩きつけ、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔で4人を睨みつめた。また掴み掛かられるんじゃないかと思ったクリス達は身をすくめたが、そうなる前にダンブルドアが間に入ってくれた。

「そう悲観せずとも、アーガス、君の猫は治してあげられますぞ」

 フィルチは小さく「えっ」と声を洩らすと、目を丸くしてダンブルドアを見上げていた。もうその顔には狂気じみた表情はなくなり、変わりに希望と安堵の表情が見受けられる。ダンブルドアが念を押すように肯くと、フィルチは汚い顔からまたボロボロと涙を流して喜んだ。
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