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ハリー・ポッターと純血の守護者

第10章 【blood】


 大広間に入って、思わずクリスは感嘆の声を上げた。まず目に飛び込んできたオレンジ色のタペストリーにキラキラと輝く星屑の装飾とコウモリのオブジェ。ハグリッドのかぼちゃは色々な表情にくり貫かれてプカプカ空中を舞い、テーブルには金色に輝く大皿が並べられている。校長の短い挨拶が終わると、大広間は鼻孔をくすぐる甘い香りに包まれた。
 ロックハートのサインで最近気落ちしていたクリスもこれには笑顔がこぼれた。カボチャのパイにカボチャジュースにカボチャのタルト。中でも最高だったのがカボチャのプディングで、クリスはこれが食べられない3人はなんと不幸なんだろうと思いつつ舌鼓を打った。

「クリス、trick or treat?」

 突然クリスの目の前に雨のようにお菓子が降ってきた。声の主は長年の付き合いで当然分かっている。これではtrick and treatだと言うと、ドラコは笑いながらクリスの前に座った。今日はハリー達が一緒ではないので気分が良いらしい。

「珍しいな、今日はポッター達と一緒じゃないのか?」
「ハリー達は今頃地下牢でゴースト達と楽しく過ごしてるよ」
「へえ?またどうして」
「ほとんど首なしニックの500回目の絶命日パーティなんだってさ」

 なるほど、とドラコは大広間を見回した。今日は城中のゴーストがニックのパーティの方に行っているのだろう。いつも食事時は大広間に姿を見せるゴースト達が1人も見あたらない。クリスはばら撒かれたお菓子を一つ拾った。きっとドラコの母親から送られてきた物だろう。高級そうな包み紙を破ると、クリスは美味しそうなチョコレートを口の中に入れた。

「有名なポッター、お偉いポッターはこんなハロウィーンパーティには興味がないと」
「男の嫉妬は醜いぞ、ドラコ」
「嫉妬じゃないさ。見ていろ、今に僕がやつの鼻をへし折ってやる」

 自信満々な態度のドラコに、クリスは例のニンバス2001のことを思い出した。

「そういえばドラコ、シーカー就任おめでとう。チームを買収したらしいな」
「買収じゃないさ、あれは父上からのほんの気持ちさ。ところでクリス、例の賭けは覚えているんだろう」
「残念だが、不正は認められんな」
「卑怯だぞ、約束のはずだ!」
「卑怯者に卑怯呼ばわれされたくは無いな」
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