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晴のち雨のちキス【実l況l者/短編集】

第18章 悪癖/rtrt


今日もその舌で翻弄される
抗うことなんてできない


「…んっ、ぅん……ん…っ」

深くなっていくキスに呼吸を奪われる
自然と漏れる湿った声が
その行為を加速させていく

どんなに息苦しくても
呻いても
止めてくれない

そっと瞼を開けると
目を細め恍惚とした表情のレトさんと視線が絡む

何も言わず
酸素を求めて喘ぐ私を楽しんでいるよう

「んん…っ、ふ…、レトさ…んっ……はな、し…て…っ!」

僅かに離れた隙にどうにか抗議の声を上げると
ちゅうっと舌を吸い取って、やっと唇が離れる

「はっ…はあ……は…、も、だ…めっ」

「…まだ終わってないで?」

「え、っん…んんっ!」

酸素を充分に補充する間もなく、再び塞がれる唇

苦しくてつい開けた口から、レトさんの温かい感触が進入してくる

こんなに激しく求めるわりに優しく蠢く舌は、甘い痺れを落としていく

苦しいのに気持ち良くて

くちゅくちゅと脳内で鳴り響く音に思考回路がショートしそう

身体がどんどん熱くなっていく

これ以上は…おかしくなる……

限界を迎える直前で涙が頬を伝うと、口元が笑ったように動き、ようやく唇が離れた

「はぁっ…はっ……」

肩で大きく息をして、呼吸を整える
ふにゃふにゃになった私の身体を抱き留めるレトさんは、満足そうな表情で、私の口の端に垂れた雫を指で拭う

「つばさ…ほんま可愛えな。」

「…っ…」

レトさんはいつもそう

苦しそうにすればするほど
最後はご機嫌に私を褒めてくれる

服装や髪型を褒められるのとは違う『可愛い』は、何度聞いても恥ずかしくなってしまう

そんな反応を見て、レトさんは更に嬉しそうにするのだけど


上機嫌なレトさんは私の髪を優しく撫でながら、まだうまく舌が回らない私とは対照的に可愛い、可愛いと繰り返す

「つばさの苦しそうにしてる顔、ほんま可愛えよ。
癖になるくらい、めっちゃそそられる。」

喜んでいいのかどうなのか…

とんでもなく悪い癖だと言うのは間違いないけど…

その嗜虐的な発言に困惑していると、レトさんがにっこりと笑って、後頭部に手を添えてきた

「つばさのその顔、もっと見たい。」

「え、ちょ…っと、待って…!」

ずいっと顔が近付いてきたのを、思わず両手で受け止める
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