第16章 こんな日常/uszw
「つばさが猫かぁ…」
猫の私を想像してるのか、視線を宙に泳がせるうっしー
すぐに何か思い付いたのか、ニヤッと笑って口角を上げる
「え、何…?」
「つばさ、そんなにゴロゴロしてたら太るぞ。
つばさ、そんなにぐうたらだと女子力ゼロだな。」
はい?!?!
「ちょっと待って、なんで急に悪口?!」
「いや、猫に言ってんだから。」
「猫に女子力って何?!
…てか本当はいつもそう思ってるんでしょ?
もーいーよー!」
向かい合っていた体を捻って、仰向けになる
オマケに分かり易く口を尖らせたりして
「まあまあつばささん、機嫌直して?」
「……」
「拗ねてんの?」
返事の代わりに寝返りをうって背を向ける
するとうっしーは私の肩を倒し、再び仰向けの状態へ
見上げると、口元に笑みを浮かべて私を見下ろしている
その余裕な感じが少し悔しい
わざとらしく視線を外すも、お構いなしに近付いてくるうっしーの顔
私の頰に唇を寄せて、ちゅっと音を鳴らす
続けて目尻、こめかみ、おでこと移動していく
目を閉じて熱を追う
くすぐったいけど、心地いい
もう一度頰に口付けると、うっしーからふふっと笑みが漏れた
「機嫌直った?」
つられて笑いそうになるのをグッと堪える
そもそも最初から怒ってないし、機嫌なんて悪くない
こんな時はいつもキスをしてくれる
いつからかそれが欲しくて、つい拗ねたフリをするようになった
きっとうっしーはわかってる
だって楽しそうだし
「んー…どうかな…?」
次はお決まりの催促
うっしーは柔らかく微笑むと、体勢を動かして体重を掛けてくる
「しょうがない猫だな。」
今度は唇へ
優しくて暖かくて
大好きなキス
あぁ、やっぱり私…幸せだなぁ
なんてぼんやり考えていたら、唇が離される
もう終わりか、とちょっと残念に思い目を開けると、おでこがくっ付きそうな距離で、目が合う
見つめる先のその瞳は
思考が溶けそうなくらい甘くて
泣きそうになるくらい愛しくなる
「つばさ、好きだよ。」
あぁ、ズルいなうっしーは
私が先に言いたかったのに
「私も大好きだよ、うっしー。」
永遠なんてないけれど
猫でもいいから来世も一緒にいたいなんて言ったら、笑うかな
こんな幸せな毎日が続くよう
再び重なる唇に
願いを込めて