第16章 こんな日常/uszw
窓から差し込むぽかぽか陽気
こんな日に外に出掛けるわけでもなく、まだベッドの上
一枚の毛布に二人の温もりを閉じ込めて、
微睡みの中、何もしない贅沢を味わう
目の前にいる恋人はまだ眠っているようで、規則正しい寝息を立てている
いつも掛けている眼鏡を外している所為か、その寝顔はどことなく幼い
幸せだなぁ…
と、つい口元が緩む
ただ寝顔を眺めて
体温を感じてるだけで満たされる
段々と嬉しさが込み上げてきて、彼の胸に額をぐりぐりと押し付けてみた
「…んんー…
つばさ、くすぐったい…」
「あ、うっしー起こしちゃった?」
焦点が合わないのか、瞳はぼんやりとした色を映している
しばらく私を見つめたまま一向にない返事
寝ぼけてる?
そう口に出そうとした瞬間、うっしーの手が私の頰に触れてくる
「よかったー、人間のつばさだ。」
「うん?」
「夢見てた。」
「どんな?」
「つばさが猫になる夢。」
そりゃまたファンタジーな夢だね
でも夢の話なんて滅多にしないうっしーがこうして話しているのが珍しくて、内容を聞いてみる
「それがさ、妙にリアルで。
死にかけた猫を拾うんだけど、それがつばさで…いや、つばさって名前付けただけ…あれ、どうだったっけ…?」
あれ?あれ?と声を漏らしながら、今見たばかりの夢を思い返すうっしー
まぁよくあるよね
起きたらもう忘れちゃってるってこと
なぜか必死に思い出そうとしている姿が微笑ましくて、もう一度うっしーの胸に擦り寄ってみる
「…つばさ、やっぱり猫だったんだな。」
ぎゅうっと抱き締められると、後ろ髪を優しく撫でられる
大きな手が心地良くて、つい猫のように目を細めてしまう
「一生こうやってゴロゴロできて、ぐうたら生活送れるなら、猫でもいいかも。」
「じゃあ、俺が飼い主になってやるよ。」
「それ正夢になっちゃうね。」
そうだな、なんて笑いながら返してくる
まぁ、うっしーなら可愛がってくれそうだよね
小動物好きだしね