第15章 ぬるいコーラ/ky
ま さ か……
「じょ、冗談…だよ、ね…?」
返事の代わりに口の端をくいっと上げると、キヨの顔が視界いっぱいに広がる
「あ…っんっっ…!」
顔を背ける隙もなく塞がれた唇
キスと呼ぶにはあまりに乱暴すぎて、目を閉じるのも忘れてしまう
驚く間も無く、開いたままだった口から液体が少しずつゆっくりと侵入してくる
予想していたとは言え、その感触に思わず眉をひそめる
キヨの口内で温められたコーラは、人生初めての味で、加えて炭酸の刺激がパチパチと口内を刺激する
甘い…のは、コーラの味…?
次々と押し寄せられるものを反射的に飲み込むと、喉がゴクリとなった
流しきれなかったものが口の端から溢れ、首筋へと伝う
キヨは飲み込めた事を確認できたのか、最後にちゅっと音を立てて唇を離した
「はっ…はぁ、は…くるし、ん、んんっ!」
やっと呼吸ができる、と大きく息を吐いた瞬間、再び酸素を奪われる
予想外の事態に、キヨの胸を押して制止を求めるが、手首を掴まれ壁に押し当てられる
身動きができない状態で、唇を食むように動かしキスをされる
苦しさと気持ち良さで頭がうまく働かない
でもこれ以上は…ヤバイ…
さすがに酸欠になりそうで、んーんーと声を漏らせば、ようやく唇は離された
「はっ…ゲホッ…はぁ、バッ…バカ!
キヨの…バカッ!!!」
咳き込みながらも抗議するが
キヨの顔はニヤついたまま
それがなんだか無性に腹が立つ
「はは、ごめんごめん。
つばさが苦しそうなの見てたら、もっと虐めたくなった。」
こんの…ドSがっ…!
心の中で悪態をつくが
何よりも自分の体が熱っぽくなっていることに一番腹が立つ
「まだ欲しい?」
「い、いらない。」
「欲しいくせに。
コーラより甘いやつ。」
私の期待していることなんて全部お見通し、みたいに火照った頰に触れてくる
悔しいけど…もっと、欲しい…
強請るように痺れる舌を覗かせれば、キヨは余裕のなさそうな顔をしてキスを降らす
絡まる舌に残る甘いコーラの味
段々と深くなるキスは骨が溶けるようで
私が信じてきたことは、あながち嘘じゃないのかもしれない