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晴のち雨のちキス【実l況l者/短編集】

第15章 ぬるいコーラ/ky


『コーラを飲むと骨が溶ける』

小さい頃、親が飲ませたくないからか、冗談で言っただけなのか、その言葉をずっと信じてきた

大人になってある程度知識が付いてきた今でも洗脳は解けず、あの黒い炭酸飲料に恐怖を覚えたりする

だから、人生で一度もコーラを飲んだことがない



そんな私の目の前で、キヨはゴクゴクと喉を鳴らしながらコーラを飲む

「…っぷはー!ウマっ!」

CMにでも出られそうな反応
飲む?なんて差し出してきた

「いや、絶対いらない。」

「絶対って…。
あ、飲みかけが嫌?」

「そうじゃなくて、
…だって…」

「ん?」

「骨溶けるし。」

キヨは狐につままれたような顔で、私を見る

…あー、その反応
わかってるよ、考えてること

子供染みたこと信じてるって言いたいんでしょ?

「今時っ…!
普通に飲むんなら、骨なんか溶けねえわ。」

ほらね
思った通り

ケラケラと笑うキヨを横目に、盛大な溜息をつく

そう期待通りにされると、なんかもう反論する気も起きない

バカにするんならすればいいし
実際、健康には悪いでしょ?

なんて心の中ではきっちり反論したりして

そんな不満が顔に出てたのか、一通り笑ったキヨは考えるような表情をした後、不敵な笑みを浮かべる

この顔…
嫌な予感がする

「な、なに…?」

「いやー、なんかさ…
飲ませてみたくなったわ。」

ニヤニヤと笑いながら私に近付いてくる
先程より顔付きが悪い

わざとらしくゆっくりと縮まる距離
額に変な汗が滲む

「え、ちょっと…なになになに?!」

じりじりと後ろに下がると、背中に軽い衝撃を受ける
もう後ろは壁

目の前まで来ると、キヨは私の顔の横にドンと片手をつく
追い詰められて、いよいよ逃げ場がない

悪い顔はそのままに、瞳は妖艶さが映されて思わずドキリとする

「逃げんなよ?」

そう告げると、もう片方の手に持ったペットボトルのコーラをあおった
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