第8章 放課後ランデヴー/uszw
「…先生は別に平気なんだ。」
「は?」
「私が他の男子と一緒にいても何とも思わないんだね。」
胸が苦しい
視界が滲んでくる
「私は、先生のことが…好きなのに!」
言葉を放った瞬間、我に返る
言ってはいけないことを言ってしまった
だってこの言葉の返事は一つしかない
ーーーお前は生徒だから何とも思わない。
先生を見ると少し驚いた顔をして、私を見ている
取り返しのつかない状況に変な汗が出る
「…つばさ……」
「すっすみません!!!
今の忘れてください!」
今は聞きたくない
はっきりした答えなんて知りたくない
今は、逃げたい…!
先生の言葉を遮り部屋を出ようとする
しかし腕をグイッと引かれ、後ろに引き戻される
そのまま先生の手が腰に回ると
顔が近付き、唇が優しく触れ合う
かと思えばすぐに体ごと離れ、背を向けられる
ほんの一瞬の出来事
「…せ、先生…?」
忙しい状況を何から整理すればいいのかわからず、声をかけてみるが返事はない
しばらく後ろ姿を眺めていると、先生の耳が赤くなっていることに気が付く
「…あークソ…
俺の努力が水の泡だわ。」
「…え…?」
「わざと冷たくしてたのに、
あんなこと言われたら我慢できねえよ。
…つばさ、もう後戻りはできなくなるぞ?」
先生は少しだけ振り返り、私をしっかりと見据えている
言葉の意味を飲み込むと、コクンと頷く
「…放課後、またここに来い。
特別授業してやるから。」
優しく、少し意地悪く笑う
壁なんてとっくに壊れてたんだ
後は下に散らばった破片を飛び越える勇気だけ
「さっきの続き、教えてくれるの…?」
「ふっ、バーカ。」
先生は私の頭を愛おしそうに撫でてくれる
もう放課後まで待ちきれないよ…