第6章 光はいつも側にある/ky
背中から感じるキヨの存在が
ずっと逃げてきたことを突き付けられているようで、胸の奥がズキっと痛む
「いい加減、俺を見ろよ!
お前がこんなんなって平気な訳ないだろ!」
私の首元に顔を埋め
苦しそうに吐く思い
「ずっと我慢してきた。
お前があんな彼氏でも好きだって言うから
お前の気持ちを大事にしてやろうと思って
その結果がコレかよ…
ほんと、ふざけんなよ…。」
それはキヨがキヨ自身に言った言葉
怒り、憎しみ、悲しみ、後悔、自己嫌悪…
傷付いた背中から全てが伝わってくる
本当はわかってる
キヨの気持ち
「つばさの痣、増えていくの気付いてて
でも何もできなくて
情けなくて
ダサくて
ほんとにクソだな俺は。」
キヨの声が震えていた
きっと泣いてる
私のために
「つばさ、ほんとにこれで…
これでいいと思ってんのかよ!」
ずっと先送りにしてきた
そのせいでキヨを傷付けた
体の痣と同じ
新しく増えるたびにキヨもまた傷付いて
ごめんね
私本当は気付いてた
優しさに甘えて
自分のためにキヨを傷付ける
それじゃ同じだよね
彼氏が私を殴る理由と同じ
もっと違う形で甘えるべきだったのに
「そんなの…
私も、もうっわかんないよっ!
痛いし、怖いし!
もう…や、だよ…」
本当はずっと言いたかった
本当は…
助けてほしかった
「やだよ…
キヨ…助けて…!」
「つばさ…ごめん、
守れなくて…ごめん。」
そうして私たちは泣いた
ずっと溜め込んでいた思いを吐き出すように
抱き合って泣いた
目を開けると窓から光がさしていて朝になっていた
そのまま床の上で眠ってしまったようで、重い体を起こすとキヨも気付いて起き上がる
二人して涙で腫れた目が可笑しくて笑い合った
こんなに晴れやかな朝は久しぶりかもしれない
スッキリとした気持ちで部屋を出ようとすると呼び止められる
「おまじない。」
そう言ってキヨの顔が近付くと少し赤みが引いた頰に優しいキスをくれた
なんだか妙に照れ臭くて、適当にあしらってしまったけど、
本当はすごく勇気をもらった
話がついたら、キヨに会いに行こう
その時は笑って、きちんと向き合うから