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晴のち雨のちキス【実l況l者/短編集】

第6章 光はいつも側にある/ky


真っ赤に腫れた頰の痣をそっと触れると感じる痛み
口の中も切れていたようで、鉄の味が広がる

濡れたタオルを手にした目の前にいる友達、キヨは大きな溜息をついた

「お前さ、バカなの?」

「ははっ…そうかも…。」

笑うしかない状況に、キヨは呆れ顔で手にしたタオルを痣の上にそっと乗せる

「うぅ…痛いよぉ…。」

「我慢しろ、バカつばさ。」

冷たいタオルを自分で当て直すと、熱を持った部分との温度差でじんじんする
そして痛みと共に思い出す痣を作った張本人

私の彼氏

いつからかキレると殴られるようになった
散々やったところで泣きながら謝ってくる
ごめん、愛してる、
お前がいないと生きていけない、と言って
私を強く強く抱きしめる
そして私は彼を抱きしめ返す
大丈夫、私はここにいるよって

それを何度も何度も繰り返してきた

随分前にキヨに痣を見られた時、すごく怒られた
別れろって言われたけど、
彼を愛してるから
彼は私がいないとダメなんだからって
キヨの言葉から逃げた

今日みたいな日はキヨの家に行って、全部を笑い話にする
キヨは何も言わずただ私の話を聞いてくれる
バカな私に付き合ってくれる

本当はわかっているのに
本当は……



キヨは何度目かの大きな溜息をついて、私の顔に新しくできた痣を見つめる

「俺もさぁ、我慢の限界ってやつがあるんだけど。」

怒りの色を滲ませて吐く言葉に、胸が苦しい

「うん…ごめん。」

「…ちょっといい?」

キヨは私の後ろに回ると着ていたシャツを捲り上げる

「え、ちょ、やめ…」

「っ!…ほら、やっぱり…酷くなってる…。」

露わになった背中にはいくつかの痣
消えかけたものから、痛々しいものまで

「キ、キヨ!もういいからっ!」

見られたくなくて体を捻ろうとすると
後ろから抱きしめられる
強くて痛くて…暖かい腕

「つばさ、いい加減にしろよ。」

低く呟く声に肩が震える
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