第12章 ROCK YOU M×N
あーあ。
相葉くんみたいに「ニノ~っ」ってくっつきに行けたら…。
リーダーみたいに「ニノ」って声をかけるだけで膝枕をしてもらえたら…。
「意外と不器用さんなんだから」
隣の椅子で新聞を読んでいた翔さんが、俺を見てポツリと呟いた。
不器用?不器用なのか、俺…。
「そんなとこも松潤の魅力だと思うよ」
翔さんがクスッと笑う。
え~っ。
不器用が俺の魅力なの?
「くくくっ。潤くん、変な顔」
えっ。
俺と翔さんを遮るような声がして。
そこに視線を向けると、ニノとバチっと目があった。
「イケメンは拗ねてる顔もイケメンですね」
「そんなこと…ある、ね」
だってね、ニノに誉められたらさ、否定なんてできないでしょ。
「今がチャンスじゃない?」
再び翔さんが呟いた。
チャンス…チャンスなのか?
ニノはゲームではなくて、俺をまだ見てくれていた。
「あの…ニノっ」
「ん―?」
「ちょ、ちょっとこっちにおいでなさい」
「ぷっ」
「ぷぷっ」
「ぶふっ」
あ…
またおかしなことを言ってしまった…
わ、わ、笑いたきゃ笑えばいいさ。
「もう~何よ、おいでなさい、なんて」
くくくって笑いながら、ニノがゲーム片手に俺の目の前にやって来た。
笑ったからか、ニノの頬がほんのりピンク色になっていて…
俺の鼓動が騒ぎ始める。
「だ、だから…その…」
「で、どこに座ればいいの?」
「じゃあ…そこのソファーに」
先にソファーに腰かけた俺に、ニノが凭れかかる。
ヤバイ…マジでヤバイ…。
ちんまりしてて可愛すぎる…。
「えっと…ニノ、ゲームは?」
思わず撫でたくなるのをこらえながら、声をかけた。
「ん―もうちょっとだけこうしてたい」
「い、いいよ」
ニノの体温を感じるだけでも、大満足だ。
「何で気づかないかなぁ……潤くん」
そんなニノの呟きに気づかないまま、俺は今日もニノへの恋心をつのらせていく。
最近は目があったり、隣で過ごす時間が増えた気がするんだ。
ドキドキ…ドキドキ…
そんな日々が
あ~、幸せ。
END