第10章 君のために僕がいる S×A
多くのことは望まないから…
俺がいて良かったって思ってくれたらさ、
それが何よりも嬉しいんだ。
今日は嵐メンバーで収録がある。
俺は2番目に楽屋にきた相葉くんと二人で、他のメンバーが来るのを待っていた。
相葉くんはさっきからずっと、B5の大きさの紙とにらめっこしている。
「相葉くん、どうした?」
声をかけてみると、相葉くんがゆっくり顔を上げて俺を見た。
そして、新聞片手にコーヒーを飲んでいる俺を“チョイチョイ”と手招きして、ソファーに座っている自分の隣に座るよう促してくる。
「ちょっと待ってて」
俺は新聞をテーブルに置き、コーヒーだけ持って相葉くんの隣に座った。
相葉くんが辺りをキョロキョロ見渡す。
「実はさ、翔ちゃんにしか聞けないことがあるんだけど…」
「う、うん」
座っているのに更に身を屈めるから、俺もつられて身を屈めた。
「あのさ。今度雑誌の取材があって、プロフィール用紙をもらったんだけど…」
相葉くんが手に持っている用紙に視線を移す。
「それがそう?」
「うん」
「で?俺に何を聞きたいの?」
「それがさ…。項目が英語で書いてあるんだけどさ。Nameは名前でしょ、Ageは年齢でしょ。でさ…えっと…その…」
「ん?」
「その次にね、セ、セ、セ…セック…あ〜っ、言えな〜い、恥ずかし〜い」
顔を用紙で隠しながらソファーに仰け反って、足をバタバタし始めた。
「ちょ、ちょっと相葉くん。紙がクシャクシャになっちゃうって」
「そ、そうだね。コホンッ」
咳払いしながら姿勢を整え、仕切り直しをする相葉くんを見て笑みがこぼれてくる。